川島蓉子のひとむすび

<52>RUMIKOさんがファンデーションに込めた“透き通る感”への思い 「Amplitude」

  • 川島蓉子
  • 2018年10月10日

前回は、メイクアップアーティストのRUMIKOさんに登場していただきました。チャーミングな装いと、きりりとしたたたずまいにドキドキ――世界を舞台に活躍するRUMIKOさんが備えている覚悟と潔さに心が動きました。

今回は、さらにそのモノ作りのプロセスに迫ります。

    ◇

エレガントな存在感のあるRUMIKOさん

この秋、RUMIKOさんが手がけた「Amplitude(アンプリチュード)」がデビューしました。成熟した大人の女性が持っている、幅も深さもある美しさを提案していきたいというRUMIKOさんの意思が込められたブランドです。

肌の美しさを大切にする日本女性に向け、最初に作ったのはベースメイクの数々です。リキッドとエマルジョンの2タイプのファンデーションをはじめ、メイクアップベース、ルースパウダー、コンシーラーなど丁寧なモノ作りがなされています。

こだわったのは、「洗練から生まれる“透き通る感”。肌と一体となるなめらかなテクスチャーで、しっかりカバーしながら透明感が際立つ仕上がりを作ること。するっとのびてぴたっととまる密着感、そんなファンデーションを作ろうと力を注ぎました」。そう聞くと、つけた時に自分がどう変わるのか、どんな心地になるのか、好奇心がむくむく湧いてきました。

私がメイクしてみたのは、リキッドタイプのファンデーション。とろりとした触感で、専用のブラシで肌につけるとすっとのびていきます。重ねても厚塗りにならず“透き通る感”がありながら、シミやくすみがカバーされているのです。しかも、気持ちが軽やかになり、密やかな自信が生まれてくる――そんな心地になれました。

「するっとのびてぴたっととまる」リキッドファンデーション

なぜ、こんなすてきなことが実現しているのか――RUMIKOさんに聞いてみました。

「このクオリティを作るため、原料の選択から、粒子を均一に整えること、成分の最適な配合まで研究所の方と試行錯誤を繰り返し、ようやく『これなら』というのができあがったのです」

でもそこから、もう一つ山を越えなければなりませんでした。サンプルを研究所で作った時にできたことが、工場の機械で生産してみると実現できなかったというのです。特に粒子を均質な大きさにするのは困難を極めましたが、これは「するっとのびてぴたっととまる」を実現するため必須だったので、何度も試みを重ねました。

「試作を繰り返してもなかなかうまくいかない状況で、さすがにチームも『もう無理かも』と少し思いはじめたのですが、あきらめませんでした」。さらなる試行錯誤を重ね、とうとう実現にこぎつけたのです。

商品化するまでは大変な道のりがあったのです

「できる」という強い信念を持ち続けられたのはどうしてか、そんな疑問が湧きました。「ニューヨークでトップクリエイターと仕事していると、彼らに『まあいいか』は絶対にありません。完璧に向かって、それぞれがプロとして究めていく。それを目の当たりにしてきたことが大きいと思います」。プロとしてのチームと自分の技量を信じ、ゴールに向かって努力を重ねる、あらゆる手を尽くしたのです。

また「アンプリチュード」のパッケージは、濃紺をベースにゴールドが使われていて、シックな印象なのですが、これについてもRUMIKOさんはこだわりました。

「エレガントな上質さを出すため、まずはゴールドと思ったのですが、そこにシックさを加味するために、何色がいいかと考え、万年筆のインクのブルーブラックが浮かんだのです。藍色をたたえた深みのある色合いがゴールドと合わさることで、“エレガントな強さ”が表現できると思いました」

色の使い方も試行錯誤を重ね、使い勝手が良くて美しさも感じる――絶妙な案配を実現したのです。

コスメブランドの開発は、単に表層的にモノをデザインするのではなく、商品としての品質や機能までかかわっていく――RUMIKOさんの仕事の広さと深さに触れた思いでした。

頑張っている大人の女性たちをもう少しリスペクトしていくことが大切なのでは、とRUMIKOさんは言います

「ここ数年、日本では美しい女性が増えてきたと感じていますし、以前に比べると、皆が同じようにではなく、個性を大事にすることが当たり前になってきています。頑張って生きている女性たちを、メイクを通じて後押しできたらうれしいと思っています」とRUMIKOさん。

ひと昔前までの日本女性は、雑誌が提案するメイクやファッションをそっくりまねたり、一見すると皆がそこそこ流行を取り入れた同じようなスタイルをしていると感じることが多かったのですが、最近は、それぞれの個性がにじみ出ている装いが当たり前になってきました。

社会性という意味で言えば、“女性の活躍”という言葉が盛んに言われるようになり、それはそれで良いのですが、実態がどれだけ伴っているかというとまだまだの状況。企業も社会も相変わらず男性中心だと感じることが多かっただけに、RUMIKOさんのお話に大きくうなずきました。

  

「朝、メイクをして鏡を見た時に、今日もがんばろうという気持ちを日本女性が1人でも多く感じていただけることを願っています」

RUMIKOさんほどのキャリアを持つ女性でも、モノ作りの過程において、多くの壁を乗り越えるために惜しみない努力を尽くし、決してあきらめない。お話を聞きながら、誰もが情熱を賭してできることはある、ささやかであっても、そのこだわりと積み重ねが人を成長させていくのだ、と意を新たにしました。

■Amplitude(アンプリチュード)

(商品写真 撮影・鈴木愛子)

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PROFILE

川島蓉子(かわしま・ようこ)

写真

伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。
1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。多摩美術大学非常勤講師。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。
ifs未来研究所 http://ifs-miraiken.jp

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