野村友里×UA 暮らしの音

野村友里さん「心に刺さる、90歳の女性の言葉」

  • 文・写真 野村友里
  • 2018年10月5日

すっかりと秋らしくなりました。静かな夜長、ふと立ち止まって、身近な人が発する言葉の意味にじっくりと思いを巡らせたくなります。

「eatrip」を主宰する料理人の野村友里さんと、歌手のUAさんの往復書簡「暮らしの音」、今回お二人が選んだテーマは、「刺さる言葉」です。

  

>>UAさんの手紙から続く

うーこ

野生のフクロウにあっただなんて羨ましすぎる!
最近動物という存在が気になって気になってしょうがないのよ。

夜光虫ね。忘れもしない。
沖縄で島の入江に向かって、満月の夜みんなで泳いだの覚えている?
夜の海というだけで怖気付いていた私だけど
取り残されまいとエイって飛び込んだら
天の川の中を泳いでいるようにキラキラキラキラ。
その輝きにびっくりしたのよ。
忘れられないわぁ~。

それにしても
あっという間にもう10月
また今年も終盤に入ってきたわね。

めくるめく1年。
日々を、四季を感じとっていると、アッという間に過ぎるわね~。
1日1日を噛みしめたいと思うのに
いつのまにか夜で
気づいたら翌朝、、、、ってね。

しかし、何ていうか
大人になると成長が(外見が)スローなもんだから

歳とることを、白髪が、、足腰が、、とか変化で知らされるか
もしくは、病気なんぞをして
その歳を身に沁みて知らされるのだけど。
子どもの成長を見ていると凄いわね。
あっという間に竹の子みたいにスクスクスクスク。
あの確実な成長っぷり

動物のような赤子から人間に進化していくさまに
バシーっと年月という現実を知らされるわね

しかし、中身!
この成長は不確かすぎるわよね。。
だって何が成長かって、結局ずっと成長しきれないようなしているような。。
日々子ども達に囲まれているうーことしては、こんな発見の繰り返しかもしれないけど
前回書いたように、私は5歳の時の姪っ子に言われた“愛とは?”についても改めて教えてもらったようなものだし。

もう一つ小話をあげると
寒くなってきて“何処か暖かい所に行きたいな~。ハワイとか”と呟く父親に
“だったらあそこに立てば?”
とすぐ目の前の陽だまりを指した姪。
その発想に参りました!と思うし、
子どもの発想に、大人は大事なことを気付かされることもしばしば。
また逆に、大先輩から言われる言葉も
グッとズッシリと心に響く歳になったなと思うお年頃の私。

素敵な女性の素敵なお住まい

最近出逢ったのは、
1960年代、建築家のご主人とアメリカの西や東に住んで過ごした、音楽と料理をこよなく愛する女性。

最初はとっても素敵なお住まいで暮らしている素敵な女性だから、と紹介され訪問したの。

そしたら意気投合?! 話し足りない、またお目にかかりたい、
なんならワインでも次回ご一緒に!なんてつい思ってしまうような方だったの。
そしたら先方も同じように思ってくださっていたのか(私があいにく不在だったのだけど)
ご主人と一緒にお店にすぐにいらしてくださったりしてね。

そして、夏を越してまた先日やっと会いたがっていた母を連れて再訪問したのね。

今年の猛暑で随分体力を消耗しましたとおっしゃっていたけれども
次々にテンポよくあちこち話題は飛んで
おしゃべりは全く尽きなくてね
お歳を知ろうとする発想も浮かばなかったの。

でも今回、ゆっくりお邪魔してお話していたら、過去の話やお母様の時代の話もでたりして
つい私の母が“お幾つなのですか?”って伺ったのよ。
そしたら“90歳になりました”って。
私ったら驚いて、椅子から立ち上がっちゃったわ。
だって、今度ワインと美味しいものでも食べにどこかにお連れしようかと、お友達のような感覚で思っていたくらいだったから。
内面年齢って実年齢ではないわよねってつくづく思い知ったわ。
キラキラの10代や20代だったとしても
純粋に楽しくて興味深くてまたお会いしましょう!と毎度は思わないからね。
心の持ちようよね。

  

話は戻るけど、
その会話の中で心のメモ帳に刻んだ発言があったの。
例えばね
“男の人はねみんな子どもなのよね”って、
アハハって、手をパァにして口にあててクスクス笑うの。

そしてね、その方がお母さまから教わった言葉は“多生の縁”。
“息をひきとる間際、背中をさする娘にむかって、多生の縁ねって言った。
だから、私は買い物途中に会ったくらいの方だとしても多生の縁と思い
一回の会話でも楽しい時間にしようと思うの“って
また手をパァにして口にあてて笑うの。

言葉もそうだけど
それ以上に表情やその姿に、それまでの人となりが浮かび上がってきて、魅力的な生き方をしてきたんだろうな~って瞬時に伝わってきたの。
直接会うって大事ね。

母と私

言葉と言えば
私の母も言葉が好きな人でね
小さい頃から隙あらば言ってくる人なの。
“品は一日して成らず”とか
家にほとんど寄り付かずで会話が少ない歳の時の弟には
靴を履いている瞬間を見逃さず背中にむかって
“ボロは着ても心は錦”とか
“⚪️⚪️したのに”の
“のに”がつくと愚痴になる。“のに”は要らないとか
“人生は観覧車。時計の針が6時を指す時もあるけれど、また必ず7時になる”って。

この言葉の類似で、奈良の母と慕っている方にも
“人生は四季なのよ。厳しい冬だったとしてもまた暖かな春が訪れる”ってね。
年月を積み重ねて初めて言葉として発せられるし、受け取れるのだなぁと。

也哉子ちゃん、うーこ、私

先日、私たちの友人でもある也哉子ちゃんのお母様の樹木希林さんが亡くなって
その生き方が、亡くなってさらに世間の話題を呼んでいたけど
私もお目にかかった時に言われた言葉
そしてややちゃんを通して感じる樹木さんの言葉はずっと残っている

お会いした時は私も結婚前で
樹木さんは伴侶についての話をとうとうとして下さったの。
結局その言葉通りにはならずになってしまった私だけど
今だにその言葉は響いているの。
伴侶は死ぬまで一緒にいても、他人なんだからわかりきれないこともある。
だからこそ、生きている限り一緒にいてこそ、一緒にいるという醍醐味、
面白さがあるのよって。
途中で止めても意味がないって。

さてさて
歳を重ねなければ感じ取れないことが沢山あると知りつつある今

これからも様々な事が起こるだろうけど
全てを受け入れて
全てを面白がって生きていこうと思うし
”今が一番!!”
と心から思えるようになったのはラッキーなことだなと思う

だから
心の成長はまだまだ
時間がかかりそうだから、、
体だけは気をつけていかないとって思ったの。

なんてたって電化製品ですら50年近く無修理で使い続けることなんてほぼ不可能なのに、
人間の体はうまくいけば100年ぐらいだって1日も休まずに動き続けられるのだから凄い。大事にしないと。
うーこも100歳まで歌い続けてたくさんの人に ドキッとする言葉を投げかけてね

友里



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PROFILE

野村友里(のむら・ゆり)料理人(りょうりびと) / 「eatrip」主宰

野村友里

料理人(りょうりびと)、「eatrip」を主宰。おもてなし教室を開く、母・野村紘子さんの影響を受けて料理の道に。主な活動に、レセプションパーティーなどのケータリングフードの演出、料理教室、雑誌の連載、ラジオ番組など。2009年、初の監督作品『eatrip』を公開。11年、「シェ・パニース」のシェフたちとともに、参加型の食とアートのイベント「OPEN harvest」を開催。その経験を経て日本のシェフたちとともに「nomadic kitchen」プロジェクトをスタート。12年、東京・原宿に「restaurant eatrip」をオープン。著書に『eatlip gift』(マガジンハウス)がある。http://www.babajiji.com/

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野村友里(のむら・ゆり)料理人(りょうりびと) / 「eatrip」主宰

野村友里

料理人(りょうりびと)、「eatrip」を主宰。おもてなし教室を開く、母・野村紘子さんの影響を受けて料理の道に。主な活動に、レセプションパーティーなどのケータリングフードの演出、料理教室、雑誌の連載、ラジオ番組など。2009年、初の監督作品『eatrip』を公開。11年、「シェ・パニース」のシェフたちとともに、参加型の食とアートのイベント「OPEN harvest」を開催。その経験を経て日本のシェフたちとともに「nomadic kitchen」プロジェクトをスタート。12年、東京・原宿に「restaurant eatrip」をオープン。著書に『eatlip gift』(マガジンハウス)がある。http://www.babajiji.com/

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