花と料理

【花と料理 鼎談2】平井かずみ×渡辺有子×大段まちこ 部活、途中で「やめたく」なった

  • 平井かずみ 渡辺有子 大段まちこ
  • 2018年10月9日

左から、大段まちこさん、渡辺有子さん、平井かずみさん

>>対談『花と料理』(前編)から続く

フラワースタイリストの平井かずみさん、料理家の渡辺有子さん、フォトグラファーの大段まちこさんが、趣味の「部活」として始めた撮影は、新刊『花と料理 おいしい、いとしい、365日』として結実した。仕事じゃないから楽しく、だから苦労も!? 仲良し3人組が、山あり谷ありの足掛け2年間を振り返ります。(構成・中津海麻子 写真・馬場磨貴)

    ◇

平井かずみ フラワースタイリスト。ikanika主宰。草花がより身近に感じられるような「日常花」の提案をしている。東京を拠点に、「花の会」や「リース教室」を全国各地で開催。雑誌や広告などでのスタイリングのほか、ラジオやテレビに出演。著書『フラワースタイリングブック』『ブーケとリース』『あなたの暮らしに似合う花』ほか多数

渡辺有子 料理家。アトリエ「FOOD FOR THOUGHT」で料理教室やイベントを開催。同名のショップでは作家の器や自家製ビン詰、焼き菓子などを販売している。『春には豆ごはんを炊く』『作りたい、食べたい、12ヵ月のシンプルレシピ』『すっきり、ていねいに暮らすこと』『サンドイッチの時間』『料理と私』など、レシピをはじめ、生活にまつわる著書多数

大段まちこ フォトグラファー。雑誌や広告で活躍。共著に『神戸ロマンチック案内』など。毎年人気の「日めくりカレンダーBOOK A VERY MERRY EVERY DAY to you」では、企画および写真を担当している

――「部活」として始まった撮影ですが、完成まで足掛け2年かかりました。

平井 基本的に毎月1回集まって、撮影を進めていました。2018年のカレンダーを作ろうと考えていたのですが、途中から「間に合わない」という空気が漂い始めたのです。

渡辺 自分のお店のオープン、当時通っていた学校の試験と、私がなかなか時間を取れなかったりして。

平井 忙しさから有子さんが「やめたい」と言い始めました。「絶対ダメ! ここまで写真撮ったんだから、必ず形にします!」とお尻たたいて(笑)。でも、ちょうどまっち先輩もロンドンに行ってしまったりして、去年の夏は2カ月間、まったく撮影ができなかった。

大段 まだ半分ぐらいは残っていたし、プレゼン先も決まってなくて、「やめるなら今」という感じはあったかもしれませんね。ただ、もし何か形にするなら、写真だけじゃもったいない。文字要素は入れたほうがいい。そういう意味で「本じゃないかな?」と話した記憶はあります。

平井 そんな中、8月にあった私の書籍のイベントにリトルモアの編集者さんが来てくれました。花の本の出版について話したいということだったんだけど、そのときの私は花の本を作っている場合じゃない!と(笑)。「すごくいい企画があるんです」と私たちの「部活」の話をして、一気に書籍化に向けて動き始めたのです。

大段 その後の撮影から編集さんが入ってくれて、とても気持ちよく順調に進むようになりました。

平井 本当にそうでした。とはいえ、「部活」という形だったから最後まで続けられたとも思う。最初から本にしようともくろんでいたら、途中で着地点がないことにくじけていたかも。「部活」だったから、有子さんからダメ出しされても、まっち先輩にシャッター押してもらえなくても(笑)、だんだんおもしろくなってきて。

渡辺 これまで、出版社に提案したりされたりして本を作ってきたから、ある意味、仕事じゃなくスタートした企画って私も初めての経験だった。でもちゃんと形になって、それもこんなにかわいく仕上がって。もう、ただただうれしいですね。やめなくてよかった(笑)。

平井かずみさん

――完成した本、いかがですか? 印象に残っているページは?

平井 最初にデザイン案が上がってきたとき、あまりのすばらしさに息をのみました。想像以上で、こんなにステキにまとめてもらえるんだ、って。

大段 本になる、実感がとても湧きました。

渡辺 私たちは「1日1ページ」を望んでいたんだけど、ページ数が多すぎるから難しいと言われたんです。結果的にそれが実現できたことが、なによりうれしかったですね。思い入れが強いのは、やっぱり元旦かな。すごく手間ひまかけて作ったから、写真1枚、本の1ページで終わっちゃうのが残念な気がして。

平井 雑誌なら、作り方も含めて10ページぐらいできちゃうもんね。私が大好きなのは2月4日の「ラケナリア」。ヒヤシンスの一種なんですが、まっち先輩から「このサーモンピンクの花を使った小さな花束を撮ってみたい」と注文を受け、即興でブーケのように生けました。

渡辺 私は2月16日の「ムスカリ」が好き。まっちさんと私が「ポリ袋とかに生けてみたらかわいいんじゃない?」と提案したのよね。最初はずいぶん首をかしげていたけど(笑)。

平井 自分の中の常識を壊してもらったことはありましたね。すごく鍛えられた。そういう意味では、やっぱり「部活」です(笑)。完成した本を1冊通して見て感じたのは「空気感」。3人それぞれの作品でありながら、そこに流れる空気感が合っている。最初から仕事として取り組んでいたらもっと一人ひとりの色が出たかもしれないけれど、すごく調和しているんですよね。ダメ出しされながら、自然と2人の要素を私の中に取り込ませてもらえました(笑)。

大段 わたしは花と料理を撮影するのは少し久しぶりでしたので、改めて新鮮な気持ちで取り組めました。ページをめくるとそれぞれのカットの香りをいまもふっと思い出します。皆さんも感じてもらえると嬉しいです。

渡辺有子さん

――この本をどんな風に楽しんでほしいですか?

大段 365日の日付は振ってあるけれど、「何年」とは特定していないので、古くなったりしない。普遍的な本として楽しんでいただけるかな、って。

平井 その日にたまたま開いたページで、何かを感じていただいても。

渡辺 以前、365日の料理本を出したとき、それを会社を退職される方への贈り物にしたという方がいらっしゃって。見送る皆さんが、自分の誕生日のページに辞める方へのメッセージを書かれたそうなんです。そういう使い方、すごくステキ。この本も、大切な方へのギフトや、家族の思い出をつづる本など、読者の皆さんそれぞれに楽しく使っていただけたら。

平井 みなさんの手元でこの本が育っていってくれたらうれしいな。

大段まちこさん

大段 とにかくお花はしつらえが美しいし、料理はおいしいので、レシピとしても活躍してくれるはず。

渡辺 レシピも情報もネットですぐに見られる今、本の存在意義って「手に持っておきたい」と思えることなんじゃないか、と思うんです。そういう意味では、この本はページ数といい重量感といい、何よりずっと眺めていたいほどの美しい写真に、「持っていたい」と思える要素がいっぱい詰まっている。本って、きっとこういう形で残っていける。ただね、今改めて見ていたら、もっとこうしたかったな、なんてイメージが湧いてきちゃって……。

平井 完成したばかりなのに? 

大段 では、次のお楽しみにとっておくのはいかがでしょう? 

渡辺 部活、まだまだ続くかもしれないですね(笑)。

『花と料理 おいしい、いとしい、365日』(リトルモア)

花と料理

平井かずみ・渡辺有子・大段まちこ
フラワースタイリスト、料理家、フォトグラファーが、誰にたのまれたわけでもなく、「部活」と称してはじめたとっておきのスタイリング。
うつくしさ、美味しさ、可愛さの三重奏。

毎日ひとつ、生活のいろどり。
季節の食材と料理やおやつ、その作り方。
花のしつらい、花のなまえ、ブーケやリースの作り方。

一日ひとつ、1枚の写真とさりげない文章で構成された本書は、3人の感性・美意識をまるごと楽しめるビジュアルエッセイ集です。10月17日発売予定。2484円(税込み)

『花と料理〜おいしい、いとしい、365日』 刊行記念展覧会
日時/10月9日~14日 13時~20時 森岡書店 銀座店にて

『花と料理 おいしい、いとしい、365日』刊行記念 渡辺有子×平井かずみトークイベント
日時/10月30日(火)19:00~20:30(開場18:30~)
入場料/1350円
定員/110名
会場/青山ブックセンター本店内・大教室
参加方法/[1] 青山ブックセンターウェブサイトの「オンライン予約」にて受付。
[2] 本店店頭にてチケット引換券を販売。
受付時間: 10:00~22:00

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