朝日新聞ファッションニュース

国・性別・体形…境界からの自由 19年春夏NYコレクション

  • 2018年10月16日

プラバル・グルン

 今月開かれた2019年春夏のニューヨーク・コレクションでは、国や性別、体形などの境界から「自由になろう」というメッセージを打ち出すデザイナーが目立った。トランプ米大統領の信任を問うものとなる中間選挙を11月に控え、分断をあおるような動きには反発し続けるという意思表示に見えた。

35カ国超のモデルが出演/偏見打ち破り「自信持って」

 メッセージを強く感じたのが、プラバル・グルンだ。会場には、デザイナーのグルンが育ったネパールで見られるような色とりどりの旗が飾られていた。

デザイナーのプラバル・グルン

 35を超える国から来たモデルがショーに出演し、グルンは「モデルは私たちの世界の一片を表すために選ばれた。私たちの世界にはあらゆる人間が存在している」とコメント。性別や出身が異なるモデルたちが続々と行き交う様子は、まさに「世界は多様」であることを示すようだった。

 来場者の席に置かれたカードには「私は有権者」とあり、ショーの最後に登場したグルンの胸には「投票しよう」と書かれていた。移民に厳しいトランプ政権やその支持者に対し、「自分は声を上げる」というメッセージのように思えた。

ユナ・ヤン

 ユナ・ヤンは、「自由」をテーマに、淡い色や花柄、フリルを使いながら、甘すぎない等身大の服を提案した。韓国ソウル出身のデザイナーは「私は『アジアの女性は消極的だ』といった偏見に直面し、それを破ろうとしてきた。その人の背景や人種、ジェンダーなどで線引きされるのは不公平。境界を破ろう、というメッセージを伝えたかった」と話す。

デザイナーのユナ・ヤン

 やせ形ではないモデルも登場した。「なぜ全ての女性がスリムでなければならないのか。私たちは多様なのに」とヤン。片側がオフショルダーになったドレスには「あなたを見せて、自信を持って」という思いを込めたという。

 ショーで多様なモデルを使うブランドが目に付くことについて、現地在住のジャーナリストは「多様性はもう常識。意識していないほうが非常識」と話す。購買者もブランドの姿勢を見ているのだろう。

ゼロ・マリア・コルネホ

 セクハラ被害を訴える「#MeToo」運動が社会現象となったが、女性へのメッセージが前面に出ていたのが、ゼロ・マリア・コルネホ。ノーベル賞学者のマリー・キュリーなど、様々な分野で障壁を壊してきた女性たちの顔がプリントされたシャツやドレスが目を引いた。コルネホは「いま、女性として、あなたたちは声を上げ、堂々と意見を述べるべきだ」。

コウザブロウ

 コウザブロウは、「インディビジュアル(個人の)・グローバリズム」をコンセプトに掲げ、「露西亜」といった漢字がプリントされたシャツなどを見せた。デザイナーの赤坂公三郎が、ニューヨークの友人に自身の出身国をそれぞれ手書きしてもらったという。

赤坂公三郎

 赤坂は昨年、若手デザイナーの登竜門「LVMHプライズ」特別賞を受賞。東京に生まれ、英国でファッションを学び、現在ニューヨークに住む。「国境に関係なく自由でありたい」と話す。モデルを務めた現地の友人や来場者と抱き合ってあいさつする赤坂の姿は、それを体現しているようだった。

アディアム

 前田華子のアディアムは、異なる文化が交わるナイトクラブから着想を得て、黄色やオレンジのネオンカラー、PVC(ポリ塩化ビニール)を用いたドレスなどを披露。「カワイイ」大きなリボンや、着物を思わせる刺繍(ししゅう)など日本文化の要素もうかがわせた。(神宮桃子)

 <写真は大原広和氏とRunway-Photographie>

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