鎌倉から、ものがたり。

選び抜いた日本茶ばっかり13種類。「CHABAKKA TEA PARKS(チャバッカ・ティーパークス)」

  • 文 清野由美 写真 猪俣博史 
  • 2018年10月26日

 まちにコーヒースタンドがあると、そこが人々の交流拠点になる。では、そこを、コーヒーではなく日本茶でやってみたら? 

 今年の春、「おしゃれに楽しむ日本茶エンターテインメント」をキャッチフレーズに、御成通りの路地に登場した日本茶スタンド「CHABAKKA TEA PARKS(チャバッカ・ティーパークス、以下チャバッカ)」は、鎌倉にまた一つ、新たな地域拠点を提供している。

 観光客がそぞろ歩く表通りから、一歩入った未舗装の路地は、昭和の香りを残しながら、「ネイバーフッド(ご近所)」の親しみを人々に与える。チャバッカが位置するのは、そんな路地の一画だ。

「二十歳のころから起業を念頭にして、勉強と仕事をしてきました。僕のビジョンにあったのは、大好きな鎌倉で仕事をして、鎌倉に住むこと。その第一歩が、この店なんです」

 そう語るオーナーの三浦健さんは33歳。まさに、これからのワーク・ライフスタイルを作っていく世代だ。

 静岡市で生まれ育った三浦さんは、サーフィン、ゴルフ、ランニングとスポーツ好きで、学生時代から由比ヶ浜(鎌倉市)や鵠沼(藤沢市)には、ひんぱんに遊びに来ていた。

「湘南、特に鎌倉のまちは、いろいろなカルチャーとムーブメントがあり、それらが化学反応を起こしていて、すごく面白かった」

 中学時代からファッションとビジネスにも興味を持ち、進学した文化服装学院では、デザインとファッションビジネスを勉強。卒業後は「メイド・イン・ジャパン」にこだわるアパレル会社に入社して、接客から、商品開発、店舗開発、営業、人事、経営企画まですべてを担当して、地力を養った。

 資金を貯めるなど、起業に向けての準備は怠りがなかった。ただ、問題は何をテーマにするか。ある時、静岡の実家で母が淹(い)れてくれた日本茶を飲んで、そのおいしさに目が開かれる思いがした。これだ! 

「もともと、日本ならではの伝統を持つものに強い思いがありました。それらの産業は今、どれも斜陽です。だからこそ、現代に再定義して、売っていくことがチャレンジになります。ただ対象があまりにも広く、なかなか焦点が定まらなかった。そんな時に、足元でタネを見つけたのです」

 持ち前の行動力と好奇心を発揮して、日本茶インストラクターなどの資格を取得。日本各地の生産者も訪ね歩き、300種類以上の日本茶を飲み比べた。

 その中で気付いたのが、日本茶のマーケティングにおける空白地帯だ。

「日本茶は、老舗の高級茶とペットボトルに二極化されていて、その中間がない。年齢層でいうと、年配層と若者層の二極化です。起業にあたっては、『バリバリに働いて、生活感度が高い20代、30代』という明確なターゲットを設定していたので、まさしくそこに響くようにと、展開を考えていきました」

 店内には、三浦さんが産地に足を運んで、選び抜いた日本茶が13種類。店内外とも、食べ物の持ち込みが自由。

「チャバッカ」のネーミングは、日本茶に熱狂する「お茶バカ」と「お茶ばっかり」、そして「お茶の葉」の三つをかけている。「パークス」には、公園のように集まり、公園のように休める場所にしたい、という気持ちが込められている。

 日本茶をカジュアルな日常に組み込む、というスタイルは、なるほど鎌倉発にふさわしい。

(後編に続きます:11月9日公開予定です)

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PROFILE

清野由美(きよの・ゆみ)

清野由美

ジャーナリスト。1960年、東京都生まれ。東京女子大学卒。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。在学中、英ケンブリッジ大学客員研究員。英国留学、出版社勤務を経て、91年にフリー。先端を行く各界の人物インタビューとともに、時代の価値観や感覚、ライフスタイルの変化をとらえる記事を「AERA」「朝日新聞」「日経ビジネスオンライン」などに執筆。著書に『新・都市論 TOKYO』『新・ムラ論 TOKYO』(隈研吾と共著・集英社新書)、『ほんものの日本人』(日経BP社)、&w連載「葉山から、はじまる。」を1冊の本にまとめた『住む場所を選べば、生き方が変わる――葉山からはじまるシフトチェンジ』(講談社)など。

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清野由美(きよの・ゆみ)

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ジャーナリスト。1960年、東京都生まれ。東京女子大学卒。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。在学中、英ケンブリッジ大学客員研究員。英国留学、出版社勤務を経て、91年にフリー。先端を行く各界の人物インタビューとともに、時代の価値観や感覚、ライフスタイルの変化をとらえる記事を「AERA」「朝日新聞」「日経ビジネスオンライン」などに執筆。著書に『新・都市論 TOKYO』『新・ムラ論 TOKYO』(隈研吾と共著・集英社新書)、『ほんものの日本人』(日経BP社)、&w連載「葉山から、はじまる。」を1冊の本にまとめた『住む場所を選べば、生き方が変わる――葉山からはじまるシフトチェンジ』(講談社)など。

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