世界に広がる、日本古来の調味料「液体塩こうじ」

  • 文・関川隆
  • 2018年10月30日

最近ではパスタなどの洋食にも使われるようになった「塩こうじ」(写真=ハナマルキ)

6、7年前に大きなブームとなった塩こうじ。かつてほど、メディアでこの言葉を耳にする機会は減った。しかしそれは、あえて“塩こうじ”と謳(うた)う必要がないほど、一般的な調味料として定着してきたからでもある。簡単に食材のうまみを引き出すことができ、料理の下処理にも便利な塩こうじは、最近ではレストランやスーパー、コンビニの総菜などでもよく使われるようになっている。

塩こうじといえば、日本料理のイメージを抱く人もいるだろう。しかし、中華やフレンチ、イタリアンなど、幅広い料理にも使われている。パリの三つ星レストラン「ル・サンク」の総料理長で、2016年の「シェフ・オブ・ザ・イヤー」を獲得したクリスチャン・ル=スケールさんも「化学調味料の味でなく、自然の風味が出せる点がすばらしい」と絶賛。オリジナルメニューを考案し、「ル・サンク」で提供する肉料理と魚料理に使用。現在のフランス料理界は日本ブームということもあり、塩こうじへの評価が高まっている。

そんな近年の新たな“塩こうじ”ムーブメントを支えているのが、ハナマルキの「液体塩こうじ」である。米こうじと塩を丁寧に熟成させた塩こうじを独自の技術で絞り、液体にしたものだ。液体なので、何にでも混ぜやすく、溶きやすく、計量もしやすい。またこげにくい。そのため、粒状の塩こうじ以上に、様々な料理に活用することができる。

ちなみに塩こうじは、近年になって急に知られるようになったが、古来より日本にあった伝統的な調味料である。塩は使うものの、主成分は米こうじ。塩の代用にもなるが、本来は塩や砂糖のように味をつけるための調味料ではない。強い酵素の力でタンパク質やでんぷんを分解し、肉や魚が本来、もっている素材のうまみや甘みを引き出す。そんな独特の調味料なのだ。

よって塩こうじは、肉や魚の下味つけから、煮物、炒めもの、サラダなどに幅広く使用できる。イワシやサバの生臭さをとったり、肉を柔らかくしたり。野菜の甘みも増すし、トマトに加えれば酸味が抑えられ、苦手な人も食べやすくなる。混ぜるだけでマリネや浅漬けも簡単につくることができる。

きのこをゆでて、液体塩こうじと混ぜるだけで「塩きのこ」も簡単に(写真=ハナマルキ)

まさに万能調味料であり、自然の力を活用する塩こうじには、世界的な健康ブームもあり、大きな注目が集まっている。今後、欧米やアジアでの需要が大きく高まることも予想されている。そのためハナマルキでは、2015年にタイに現地法人を設立。さらに「液体塩こうじ」を製造する新工場を、タイに建設することを発表した。この工場から中国、東南アジアを中心に、ヨーロッパ、アメリカへと「液体塩こうじ」を輸出する計画だ。

「塩こうじ」という日本古来の調味料、発酵文化が2000年代になってよみがえり、世界へ広がっていく。それは多くの日本人にとって、誇らしいことでもある。

「日本の伝統的な発酵食品が、世界の食産業の発展に役立てればうれしい」と、タイの新工場建設を発表するハナマルキ専務取締役の花岡周一郎さん(写真=関川隆)

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