朝日新聞ファッションニュース

<モードの新星>正反対が生むバランス アキコアオキ / ヨウヘイオオノ

  • 2018年10月30日

甘さまとうメンズライクな服

アキコアオキ 青木明子

1986年生まれ

 肩や襟のかっちりしたジャケットは、ウエストから裾にかけて絶妙なラインを描く。端正なたたずまいのシャツドレスは、肩をのぞかせ、袖の一部がふくらんでいる。今年3月、2018年秋冬の東京コレクションでアキコアオキが披露した作品は、一見メンズライクだが、甘さやしなやかさが共存していた。

 今年、若手デザイナーの世界的な登竜門「LVMHプライズ」のセミファイナリストに選ばれ、パリで作品を披露した。デザイナーの青木明子は、ある審査員に「女性独特の価値観と、マスキュリン的な、正反対にあるものをぶつけて表現しているんだよね」と言われたという。「的確にわかってくれて、すごいと思った」と振り返る。

 祖母が着た服を世代を超えて大切に着るなど、装いに対して愛情深い環境で育った。女子美術大のファッション造形学科へ進み、ロンドンのセントマーチンズ美術大に留学。そこでは「理屈なく、ファッションとしてかっこいい、きれい、というシンプルなジャッジだった」。どの人が見ても、感覚的に「いいな」と思えることを今も大切にしているという。

アキコアオキ2018年秋冬の作品=野村洋司氏撮影

 帰国後、ミキオサカベのアシスタントを経て、14年にブランドを始めた。ファッションを「生きる行為そのもの」ととらえる。「時代によって変わる、生き物だと思う。人間も、価値観や美しいと思うものが変わる。日々変わっているという中で、ファッションは人間にすごく近いもの」と話す。

 世界へさらに飛躍するため、「自分の得意なことと、世界の流れを見極めて、常に挑戦していくことが大事。変わることをあまり怖がらないでいたい」。柔らかな口ぶりと、芯の強さを感じさせる言葉たち。彼女自身のあり方が、服に反映されているようだ。

「プロダクト」と親近感

ヨウヘイオオノ 大野陽平

1986年生まれ

 作っているのは、洋服ではなく「プロダクト」だと言う。独特のとらえ方でファッションに向き合っているのが、ヨウヘイオオノのデザインを手がける大野陽平だ。

 工業製品が持つ、人に近いようで離れている「無機質な感じ」を意識してデザインしている。少し距離があるからこそ、「想像力を持った人に、自由に解釈して着てもらいたい」。親近感と無機質さのバランスを探っている。

 エナメルやメッシュなど、まさに資材のような素材使いも特徴的だが、どんな素材を使っても無機質さを出せるようにしたいという。

 今年8月、19年春夏の展示会では、腰部分にウレタンパッドを入れて横に大きく張ったジャージー素材のドレスや、袖が横や後ろにふくらんだ立体的なジャケットなどを見せた。人の体に沿わないシルエットも「空間の中に人を入れる感覚で、建築やプロダクトにも通じる部分」と話す。

 家具デザイナーが代表作を持っているように、デザインとして残るものをめざす。「パターンを公開して、色々な人に作ってもらいたいという思いもある」というのも、工業製品らしいのかもしれない。

ヨウヘイオオノ2019年春夏の作品=ブランド提供

 哲学を勉強しようと早稲田大に進学したが、「何か作ってみたい」という気持ちから文化服装学院へ。文化ファッション大学院大学を経て、英ノッティンガム・トレント大に留学、14年にブランドを立ち上げた。

 16年には「東京ファッションアワード」を受賞し、パリで展示会に参加する経験もした。今は東京で実力をつける時期、ととらえる。「ゆくゆくは、『ファッション』とつかない『デザイナー』になるのが夢」。枠にとらわれず、ファッションの可能性を広げていく。(神宮桃子)


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