猫と暮らすニューヨーク

プエルトリコからの保護猫、レディー・ガガが嫌い!?

  • 文・仁平綾、写真・前田直子
  • 2018年11月5日

「猫は、基本的に自分のやりたいことをやりたいようにやって生きる。私たちとは偶然一緒に暮らすことになっただけ。だからケソが私たちに寄りそってきたりするしぐさが、とても特別なことに思えます」とブリジットさんとトミーさん

[猫&飼い主のプロフィール]
猫・Queso(ケソ)3~4歳ぐらい メス たぶんメインクーンの雑種
飼い主・フォトグラファーのBridget Badore(ブリジット・バドア)さんと、デザイナーで現在はテック系の起業コミュニティーで仕事をするTommy Sullivan(トミー・サリヴァン)さんカップル。ブルックリンのBushwickにある1ベッドルームのアパートメントで暮らす。

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オレンジ色のふさふさヘアが自慢の猫・ケソは、なんとカリブ海に浮かぶ島国、プエルトリコの生まれ。保護犬や保護猫などの動物の譲渡情報を掲載するウェブサイト“petfinder”で偶然見つけ、「譲渡の申し込みをしたら、プエルトリコで保護されている猫だとわかったんです」とブリジットさん。

ケソの里親を探していたのは、プエルトリコのビーチなどに野放しにされている捨て犬を保護する団体The Sato Projectだった。プエルトリコの保護施設では殺処分されてしまうため、現地の動物病院で治療やワクチン接種を受けさせた後、NYの空港へ輸送し、里親に届ける活動を行っているという。「ファッションデザイナーのマーク・ジェイコブスも犬を譲り受け、団体を支援しているんです」とはトミーさん。幸運にも他の捨て犬たちと共に保護されたケソは、NYへの片道切符を手に入れ、ブルックリンの2人の元へやってきた。

ちなみにプエルトリコからの航空券代は寄付などでまかなわれるため、ケソの譲渡に支払った費用は300ドルほどの事務手数料のみ。「団体への寄付金も含まれると思えば、決して高いと思わない」とブリジットさん。保護団体の愛と熱意と労力には、頭が下がるばかりだ。

表情豊かな、百面相ケソ。おもちゃで遊んで興奮したら、丸い顔がくしゃっと平らになってしまいました

「私たちと初めて会ったとき、ケソはすぐに彼(トミー)に寄っていきました。トミーの髪の毛の色がオレンジだから、自分と同じ動物って思ったのかも(笑)」(ブリジットさん)。譲渡された当初は、スペイン語の別の名前がついていたけれど、2人がケソ(チーズ)&チップスを家で食べていたときに、「突然テーブルに上がって来て、匂いをかいだと思ったらチーズに手を入れたんです!」(ブリジットさん)。そんなわけで、名前はケソで決定となった。

生まれて初めてのフライトも、環境や言葉の違いもものともせず、すぐにブルックリンの暮らしに馴染(なじ)んだケソ。類いまれなる才能といえば、豊かな顔の表情。猫と暮らした経験のあるブリジットさんとトミーさんは、「ケソはこれまで見たことがないぐらい、顔の表情が多彩な猫」と口を揃(そろ)える。「目を半分閉じて私たちを見下したり、あきれたような顔をしたり、“ケソ、かわいいね、かわいいね”って言うと、“黙れ”って顔をしたりします」と2人。その顔芸で、日々ふたりを笑わせているという。

アメリカのアイドル猫“グランピーキャット”のぬいぐるみが大好き。あまりに一緒に遊びすぎて、ぬいぐるみの顔が薄く消えかかっているほど

おもちゃで遊び、窓から鳥を眺め、2人の後を追いかけ歩き、トイレにまでついて行く。2人がキッチンで料理をしていれば参加するし、夜、2人がベッドに入れば、2人を追いかけベッドにもぐりこみ、なぜか足首に嚙(か)みつく……。「まだ私たちに起きていて欲しいからなのかも」と笑う2人。ブリジットさんが抱っこをすれば、鋭い平手打ちが飛んでくるし、レディー・ガガの歌を歌うと、「やっぱり平手打ちをしてきて、走って逃げる(笑)」という謎な行動。鏡に映る自分の姿を発見したときは、必死に前脚で鏡を引っ搔(か)き、その姿をとらえようとしていたことも……。

ブリジットさんがパソコンに向かって仕事をしていると、手の上やキーボードに座り、邪魔しようとします。「近くにいたいからかな」というトミーさんに、「自分の支配力を示したいからじゃない?」とブリジットさん。

そんな愉快な猫との暮らしは、「とても幸せだし、心が温かになります。だから他人に対しても寛容になれる心が養われた気がします」とブリジットさん。「私はフリーランスで、家で仕事をすることが多く、昼間1人で家にいるときは、よくケソに話しかけるんですね。何を言っても、何をしても、ケソは気にせず受け止めてくれる。おかげで以前よりも、素直に自分らしく生きられるようになったと思います」。

>>つづきはこちら

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連載「猫と暮らすニューヨーク」では、ニューヨークで猫と生活するさまざまな人を訪ね、その暮らしぶりから、ユニークなエピソード、インテリアや飼い方のアイデアまでを紹介します。

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ケソのインスタグラム
https://www.instagram.com/littlequeso

ブリジットさんのウェブサイト
https://www.bridgetbadore.com

トミーさんのウェブサイト
https://www.tommyssullivan.com


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PROFILE

仁平綾(にへい・あや)編集者・ライター

仁平綾

ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。

http://www.ayanihei.com
http://www.bestofbrooklynbook.com
photo by Naoko Maeda

前田直子(まえだ・なおこ)写真家

前田直子

24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
http://www.naokomaeda.net

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仁平綾

ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
http://www.ayanihei.com
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photo by Naoko Maeda

前田直子(まえだ・なおこ)写真家

前田直子

24歳で渡米。サンフランシスコのAcademy of Art Universityで写真を学んだ後、日本へ帰国し、フォトグラファーの前田晃氏に師事。2010年に独立し、雑誌や写真集、ウェブなどで幅広く活動。2013年に再び渡米、現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に、日本&アメリカの雑誌や広告、ウェブなどで撮影を手がける。猫アレルギーでありながら、子どもの頃から無類の猫好き。10代の頃、実家で飼っていた猫の名前はチノ。
http://www.naokomaeda.net

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