鎌倉から、ものがたり。

鎌倉名物、自分でサーバーから注ぐ日本茶。「CHABAKKA TEA PARKS(チャバッカ・ティーパークス)」

  • 文 清野由美 写真 猪俣博史
  • 2018年11月9日

 鎌倉西口の御成通りは、観光客向けの店が多い小町通りとは対照的に、ローカルの住人がひいきにする店も多い。そんな通りも最近は、にわかに観光客受けする店が増えて、雰囲気が変わりつつある。

 その中で「日本茶」をテーマに、ローカル、観光客の双方に人気を博しているのが、「CHABAKKA TEA PARKS(チャバッカ・ティーパークス)」だ。

 店内のカウンターでまず目を引くのは、薄緑から黄金色まで、さまざまな色をした日本茶のディスプレイ。ラインナップは、煎茶、抹茶、玉露、ほうじ茶、釜炒り茶、和紅茶、和烏龍茶、碾茶(てんちゃ)の8種。茶葉はすべて国内の産地のもので、さらに一番茶やオーガニック栽培のものに特化している。

 同時に、チャバッカでは日本茶の多様性を味わうために、ブレンド茶ではなく、単一農園で栽培された単品種の「シングルオリジン」にこだわる。

 生産者の顔が見え、かつ、栽培地が特定できることによって、飲む方は、それぞれの個性を楽しめる。たとえば佐賀嬉野産の釜炒り茶「つゆひかり」は、「香り豊かでうまみの強いまろやかなバニラフレーバー」。埼玉狭山産のほうじ茶「ごこう」は、「紅茶のほのかな甘みとほうじ茶の香ばしさをあわせ持ったカカオフレーバー」……と、メニューにもワインのような説明が記される。

 実際に飲み比べてみると、「日本茶」とひとことでくくられていても、品種や土地、気候、栽培法によって、味わいには幅広いグラデーションがあることがわかる。

「日本茶の味わいは、本当に奥深いものがあります。その一方で、産業としては日が当たらない現状があるのですが、それでも生産者さんたちは伝統を守って、おいしい茶葉を作ってくれている。この店には、そんな生産者さんたちへの尊敬も込めています」

 そう語る三浦さんは、産地とユーザーをつなぐために、淹(い)れ方にエンターテインメント性を意識する。カウンターでは、注文を受けた後に、オリジナルの「日本茶ドリッパー」やティーサーバーを使って、客の目の前で抽出プロセスを披露。

 そして、カウンターの横には、自身の発明である「ドラフトティー・サーバー」が。これは、深蒸しの煎茶を一日かけて水で抽出し、さらにもう一日をかけて、窒素ガスを含ませ、それによってドラフトビールと同じように、クリーミーで泡のたった日本茶ができあがるという、本邦初の装置だ。

「ドラフトティーは、ビールのようにお客様がご自身でサーバーから注いでいただく仕掛け。固く、難しいイメージのある日本茶に、娯楽の要素を持たせて、みんなの興味を引きたいのです」

 もとの建物は、御成商店街にあるカーテン屋さんの倉庫だった。その1階と外観を改装した店舗は、界隈(かいわい)に開かれたつくり。広くとった前庭にはベンチが置かれ、天気のいい日は人々が陽光の下でお茶を楽しむ。

 地元の人と旅行者が行き交う拠点として機能させるために、店頭にはレンタサイクルを揃(そろ)え、店内にはレンタルクロークも設けた。店は1日1万円で、レンタルスペースとしても貸し出しており、アート展やアパレルの展示会をはじめ、大学のゼミ合宿に使われることもあるという。

 チャバッカの向かい側は、鎌倉コミュニティの拠点となっているコーヒースタンド「ザ・グッド・グッディーズ」。隣には、チャバッカとほぼ同時期にできた、鎌倉で働く人のための「まちの社員食堂」がある。

 活気づく路地裏が、鎌倉の懐深さを物語っている。

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PROFILE

清野由美(きよの・ゆみ)

清野由美

ジャーナリスト。1960年、東京都生まれ。東京女子大学卒。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。在学中、英ケンブリッジ大学客員研究員。英国留学、出版社勤務を経て、91年にフリー。先端を行く各界の人物インタビューとともに、時代の価値観や感覚、ライフスタイルの変化をとらえる記事を「AERA」「朝日新聞」「日経ビジネスオンライン」などに執筆。著書に『新・都市論 TOKYO』『新・ムラ論 TOKYO』(隈研吾と共著・集英社新書)、『ほんものの日本人』(日経BP社)、&w連載「葉山から、はじまる。」を1冊の本にまとめた『住む場所を選べば、生き方が変わる――葉山からはじまるシフトチェンジ』(講談社)など。

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清野由美(きよの・ゆみ)

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ジャーナリスト。1960年、東京都生まれ。東京女子大学卒。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。在学中、英ケンブリッジ大学客員研究員。英国留学、出版社勤務を経て、91年にフリー。先端を行く各界の人物インタビューとともに、時代の価値観や感覚、ライフスタイルの変化をとらえる記事を「AERA」「朝日新聞」「日経ビジネスオンライン」などに執筆。著書に『新・都市論 TOKYO』『新・ムラ論 TOKYO』(隈研吾と共著・集英社新書)、『ほんものの日本人』(日経BP社)、&w連載「葉山から、はじまる。」を1冊の本にまとめた『住む場所を選べば、生き方が変わる――葉山からはじまるシフトチェンジ』(講談社)など。

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