ぶかつ

石川佳純選手ら参加のTリーグってどんなの? 直径4cmのボールを追いかける非日常体験!

  • 2018年11月30日

  

人間の反射神経を超えた動きに見入った、両国国技館の夜

リオ五輪で男子団体が銀メダル、女子団体と水谷隼選手が銅メダルを獲得した卓球。同大会で、日本の卓球レベルの高さに気づいた人も少なくないでしょう。水谷選手をはじめ、張本智和選手、石川佳純選手、平野美宇選手ら、世界で活躍するトップ選手が参加する卓球の新リーグ『Tリーグ』が、10月末、東京・両国国技館で開幕しました。

世界の卓球事情を見渡すと、現時点ではドイツの『ブンデスリーガ』、中国の『スーパーリーグ』が世界最高峰のリーグと言われています。これまで日本の有力選手はプロリーグが無い日本を離れて、恵まれた練習環境と報酬を求めて海外リーグに活路を見いだすしかない状態でした。今回発足したTリーグは、“世界No. 1の卓球リーグを実現する”を理念にスタートしましたが、そこには2008年北京オリンピックの苦い経験がありました。

2018年10月に開幕した『Tリーグ』。ロゴのTは、ラケットの持ち手部分をビジュアル化したもの

水谷選手や福原愛さんらが出場した北京オリンピックで、日本は団体戦・個人戦ともメダル獲得を逃しました。オリンピック終了後、継続的なオリンピックメダル獲得のためには国内プロリーグが必要という考えから日本卓球トップリーグスタディーチームが創設され、そこからTリーグ構想がスタート。2015年にはプロリーグ設立準備室を設置、2017年に一般社団法人Tリーグを設立し、約10年の歳月を経てTリーグが実現しました。

Tリーグの特徴は、リーグに参加する各チームに必ず1名、世界ランキング10位以内の選手を入れるという条件を課したこと。2018年10月発表のITTFワールドランキングでは、水谷隼選手が12位、張本智和選手8位、石川佳純選手4位、平野美宇選手9位と、日本のトップレベルの選手を擁するチームのみが参戦できるというルール。観客としては世界レベルの試合が、間近に見られるエキサイティングなリーグといえるでしょう。

今回は、いったい、どこをどう鍛えたら、あんな動きができるの……!? といった人間離れした動体視力に驚きながら、国技館で卓球を観戦するという非日常体験をリポート。訪れたのは、トップおとめピンポンズ名古屋 vs 日本生命レッドエルフの一戦。

リーグの開幕戦では、音と光による華やかなオープニングセレモニーが行われた

両国国技館の升席で卓球観戦! 非日常感が、試合への期待感を高める

“大相撲のように、卓球もいつかは国技に”という願いから、開幕戦の舞台は両国国技館。普段は土俵のある場所に卓球台が置かれ、音と光の派手な演出に彩られながら出場選手がコールされるオープニングセレモニーは、「これからすごい試合が見られそうだ」と期待させてくれるものでした。

歴代力士の優勝額が見守るなか、1階の升席で靴を脱いで飲食をしながら卓球観戦をするのは、とても不思議な体験。

贅沢(ぜいたく)な気分に浸れる升席観戦。ボールのゆくえを集中して見られる

椅子席よりもくつろげるから、これから演劇でも見るようなゆったりした気持ちになります。この日の入場者数は4,572人。チームの応援団、仕事帰りの会社員、カップル、気合の入った卓球ファン、憧れの選手を応援する子どもたちなど様々な年齢層の方が会場に足を運びました。

食事をしながら卓球観戦をする非日常体験は、クセになりそう

目が離せない! サーブ前の静寂から激しいラリーの応酬

Tリーグは、3シングルス・1ダブルスの4マッチ制。1ゲーム11点先取で、シングルスが5ゲームマッチ、ダブルスが3ゲームマッチです。

第1マッチはダブルス。筆者は、本格的な卓球の試合を見るのはこの日が初めて。試合前のウオーミングアップなのに、すでに目で追うのがやっとという球速に、生で見る卓球の試合はこんなにスピードが速いのかと驚きます。

(C)2018 T.LEAGUE

試合はまさに“一球入魂”、一球一球が力強くて目が離せない。複雑な回転のかかったサーブを、その回転を上回るグリップ力でねじふせてレシーブするときの緊張感は、観ていてクセになりそう。卓球が“回転の競技”と言われる理由がよくわかります。

サーブ前の静寂は、見ている側も緊張するくらいしんとした緊張感があり、そこから続くラリーが見ていて面白い! ボールが小さいぶんテニスと比べたら楽な競技かな……と思っていましたが、とんでもない、ものすごい全身運動でした。ダブルスは、2-0で日本生命レッドエルフの勝ち。

息を止めて見守る激しいラリーの応酬。選手の息づかいまで聞こえそうな距離でゲームを観戦できる

続くシングルスは、さらに球速の早いラリーの展開に。序盤で点差が開いていても、そこから取り返して逆転で勝つというゲームもあり、一球一球が流れの変わるきっかけになるので見逃せません。打たれた球を拾うことに専念していた選手が、急に前に出て強打するプレーは見ていてスカッとする! 消極的なプレーになったほうが失点することが多く、常に前に出ていく気持ちの強さが大切な競技なのだと感じました。

試合は、世界トップクラスの実力を持つ平野美宇選手・早田ひな選手が所属する日本生命レッドエルフが3-1で勝ち、開幕戦勝利を飾りました。

チームごとに特徴のある応援合戦も、Tリーグ観戦の楽しみの一つ

すり鉢状の会場は試合観戦に集中しやすいつくりで、会場に集まった観客全員が一球を見守る一体感が楽しめます。卓球は、ボクシングやバスケットボールのようにずっと歓声が続くスポーツではなく、応援にも緩急があり、息を詰めて試合を見守る面白さを知りました。

“幻の3番ホーム”で卓球体験も

Tリーグ開幕に合わせて限定開催されていたのが、JR両国駅にある通称“幻の3番ホーム”での卓球体験。普段は閉鎖されて立ち入りができない3番ホームに卓球台を設置し、誰でも卓球体験ができるようにしてTリーグを盛り上げました。

限定開催された、“幻の3番ホーム卓球”。開催期間中は、多くの人が卓球体験を楽しんだ

開幕記念イベントが開催された23日には、琉球アスティーダの小沢吉大選手と日本ペイントマレッツの加藤美優選手が“幻の3番ホーム”でラリーを披露。電車が通る真横で卓球をするという非日常の風景に、電車利用客は驚いて写真を撮るなど楽しんでいた様子。仕事終わりの夕方には、卓球体験希望者の行列ができるほど人気を博していました。

電車の音とアナウンスを聞きながら卓球をする非日常体験に、行列になる時間帯も

世界トップクラスの戦いが見られる、エキサイティングなリーグ

(C)2018 T.LEAGUE

Tリーグは将来的に、今回開幕したトップリーグだけでなく、ピラミッド形式でT1・T2……とレベルごとに参戦できる仕組みづくりをしていくそう。温泉卓球やバー卓球で夢中になってラケットを振った人にも、リーグで腕をふるうチャンスが巡ってくるかも!?

今回の観戦は、直径4センチのボールを、息を詰めて見守るというなかなかの非日常体験でした。選手たちの鍛えられた動体視力と反射神経にはただ驚くばかりで、世界レベルの戦いは、まさに最高のエンターテインメント。

Tリーグは、2019年3月までのレギュラーシーズンで各チーム21試合を戦います。一度、非日常を体験しに、Tリーグ会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

文:石川歩 写真:野呂美帆


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