朝日新聞ファッションニュース

マーケットで街を元気に 広島「ザ・トランクマーケット」

  • 2018年11月28日

広島市内中心部の公園に設営された会場

@広島 ブランドや雑貨など55店

 「ファッションで街を元気に」。そんな思いで広島のセレクトショップのオーナーが企画し、半年に一度開かれている「ザ・トランクマーケット」が注目を集めている。東京が拠点のブランドも参加して限定品を用意し、デザイナー自らが店に立つなど、2日間で約2万人を動員(主催者発表)。作り手と買い手がリアルに交流する場になっている。

デザイナー自ら接客、広がる交流

店頭に立つビズビムのデザイナー、中村ヒロキ(右)

 10日朝、広島市中心部にある袋町公園。ビズビムのブースには、イベント開始の1時間以上前から約80人が購入の順番を決める抽選のために集まった。米ニューメキシコ州で買い付けたシルバーのバングルや、1920年代に先住民のナバホ族が作ったブランケットなど、デザイナーの中村ヒロキの私物や、めったに店頭に出ない限定品を特別に販売するためだ。

 2番目の購入権を引き当てた岡山市の会社員松本敦さん(27)は、クラッシュ加工のデニムパンツを購入。「朝イチの新幹線に乗って来たかいがあった。誇らしげに履いて帰ります」

個人店減が契機

 初開催は2013年11月。地元でセレクトショップ「レフ」などを経営する中本健吾(50)が企画した。閉店する個人商店が目立ち、その後にはコンビニなどのチェーン店ができるケースが多いことに危機感を抱き、「他にないイベントを継続的に開き、この街を元気にしたい」と地元の振興組合と、親交のあるデザイナーたちに声をかけた。

 ビズビムの中村は「私のブランドの店が広島にできて10年。こういう形で、直接お客さんと触れあえる機会は大切」。持ち込まれた服へのサインにも応じていた。

サタデーズ・ニューヨークシティで接客するスタイリストの熊谷隆志(左)

東京からも出店

 開催は今回で11回目。参加したのはファッションブランドや雑貨、飲食など55店で、約半数が東京など県外から出店し、残り半分が地元広島のブランドや飲食店だ。中本は「東京から有名なところがやってきて終わり、では根付かないから」と説く。

 サカイでパタンナーを経験して独立し、広島を拠点にするウェイのデザイナー、中神一栄(なかがみかずえ)は今回が初出店。「著名ブランドと並んで店を出せて刺激になった。50着用意したスウェットも完売し、自信がついた」と笑顔を見せた。

 運営側によると、ザ・ノースフェイスなど、トランクマーケットに参加して広島の市場に可能性を見いだし、実店舗を構えたブランドもいくつかある。

 現在では中本の元に東京の大手小売店がイベント開催のノウハウを聞きに来るようになった。ホワイトマウンテニアリングのブースで接客をしていたデザイナーの相澤陽介は「中本さんの実行力と人柄で、みんな巻き込まれて来ている。僕も、そのうちの1人」と語る。

建築家の谷尻誠(左端)らによるトークイベントもあった

 東京を拠点にするブランド、マーカウェアは不参加だったが、運営する会社の石川洋平社長がイベントを訪問。「運営は簡単ではないけれど、他の地方都市でも実現すれば盛り上がるでしょう。ファッションの可能性を感じる」と語った。

 公園の一角にはステージが設けられ、ライブなどもあった。2日目には広島出身の建築家、谷尻誠が登壇してトークショーを開催。「東京と広島の化学反応がトランクマーケットの醍醐味(だいごみ)。どれだけSNSが発展しても、リアルな世界で実際に顔を合わせてやりとりする楽しさは特別ですよね」と語りかけた。

(後藤洋平)

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