リノベーション・スタイル

<182>新築の一軒家をリノベーションするってもったいない?

  • 石井健
  • 2019年1月9日

[Manish]
Kさんご夫婦(夫31歳、妻31歳、長男0歳)
東京都杉並区 築0年/70.46㎡/総工費600万円

    ◇

 都内の好きな場所で、自分の思い通りの一軒家を建てる……そう聞くと、かなりハードルが高いと感じますが、建て売りの新築一軒家を買ってリノベーションすれば、結果的にリーズナブルになることがあります。

 もともとお二人は、奥様のご実家が近いということもあり、以前から住んでいたエリアでリノベーションすることを念頭に、中古の一軒家を探していました。でも、思うような物件が見つからず、それなら視点を変えて新築で探してみると、売れ残って手ごろになった線路脇の新築分譲住宅を購入できることに。

 そして、Kさんは「1ミリも建て売りの痕跡を残したくない!」とリノベーションを進めることにしました。一方、奥様は当初「新築だしリノベーションしなくても……」と思っていたようです。奥様がKさんに伝えたのは「キッチンが使いやすくなればいいかな」ということだけで、最初の打ち合わせ以外はKさんお一人でいらっしゃいました。とはいえ、完成した時には、奥様も今のお部屋に満足してくださっているとのことで、よかったです(笑)。

キッチン上部分は天井を抜いたことで開放感が生まれた

 さて、そのリノベーションの中身ですが、1階の寝室はそのまま残し、2階のLDKと屋根裏部屋のみリノベーションしました。

 一軒家なので間取りは変更できませんが、Kさんのご要望は大きく以下の4つ。

 1)すべて収納し、ミニマルな空間で暮らしたい。
 2)キッチンをセパレート(II型)にしたい。
 3)ダウンライトで全体の明るさを確保したい。
 4)ソファとテーブルは大きいものを使用したい。

 それらすべてを満たしつつ、「建て売りの痕跡を1ミリも残さない」ため、床や壁などの素材をすべて変えていくことになりました。空間がすっきり見えるよう、テレビとDVDデッキもアールを描く壁に埋め込みました。さらに、屋根裏部屋の一部を取り除き、天井高を出して風が通るように変更。梁(はり)はグレー、キッチンは黒、壁は白、入り口がハーフボールのパントリーはピンクに塗装しました。

キッチンからリビングを見る。キッチンの天板は人造大理石。水栓も黒でそろえた

 ちなみに、キーワードは“マニッシュ”。挿し色にピンクを使ったり、ところどころに曲線を使ったりしたのは、かっこよさの中に“色気”を出すためです。結果的に2階のLDKは購入時とはまったく違った空間に生まれ変わりました。

 新築の建て売り一軒家をリノベーションするなんてもったいない……と思われるかもしれませんが、壊す部分を最小限に抑え、家の性能はそのまま、メインの空間だけをリノベーションすると決めれば、中古物件を購入してフルリノベーションするより、総額を抑えられることもあります。

 リーズナブルに新築の一軒家を買い、車を一台購入できる分のお金で、メインの空間をリノベーションする、という方法も選択肢のひとつではないでしょうか。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)「ブルースタジオ」執行役員

写真

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。

ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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