朝日新聞ファッションニュース

欲望の香り 夢への誘惑――ヴィトンの調香師ジャック・キャバリエ

  • 2019年1月15日

 ロードゥイッセイ、ブルガリ・プールオム、イヴ・サンローラン・オピウム――。香水の世界で人気商品を手がけ、「世界三大調香師」とたたえられるジャック・キャバリエが、ルイ・ヴィトンの専属として、新しい香りを生み出している。自身の仕事の役割について、「香水によって、人々の欲望を生み出すこと」と話す。

ジャック・キャバリエ。1962年生まれ

革も原料、調和を大切に

「レ・パルファン・ルイ・ヴィトン」

 2016年に本格的にフレグランスの分野に参入したルイ・ヴィトンは、これまでにメンズを含む14種の「レ・パルファン・ルイ・ヴィトン」を展開。全体の印象はフレッシュだが、革や花などの香りが複雑に混じる。キャバリエは「暗い時代だからこそ、生きる喜びを感じるような前向きな香り、子供の頃や優しいものを思い起こすような香りをめざした」と話す。革製品で知られるブランドのDNAを意識して、革から抽出した物質を使うなど、意外性のある原料でユニークなものに仕上げたという。

 優れたフレグランスに必要なのは、「調和」だという。「革と花など対比をつけることで達成できる。料理のスパイスと同じ」と説明する。

 「香水の都」と呼ばれる南仏のグラースで生まれ、祖父も父も調香師だった。「驚きや誘惑があって、常に現代的であるような香りを作るために、10歳のころと同じ目や感覚で世界を見ることを自分に課している。香りを嗅ぐ人に、夢を見てもらわなければならないから」(編集委員・高橋牧子)

香水のトレンドは――映えるボトル/甘い香り/ジェンダーレスの波

ブルーベル・ジャパンが扱う香水。ミュウミュウ(右から2番目)は若い女性に人気という

 香水輸入販売大手ブルーベル・ジャパンの小磯良江パルファムコンサルタントは香水のトレンドについて、「以前のように、大きな流行がないのが現状。仕事よりプライベートを大事にするなど、比重の置き方も変わっている。個性を大切にし、自分に心地よい香りを選ぶ消費者が多くなってきた」と話す。

 最近はSNSや親の影響もあり、20代前半の若い消費者が香水をとり入れている。ファッションブランドの香水はイメージしやすいためか人気で、代表格がミュウミュウ。「ローロゼ」はスズランの香りで、かわいらしく小悪魔的という。SNSで「映えるボトル」であることも大事になっている。

 香水には時代を象徴する人物像が投影され、いま目立つのがキュートな女性像。グッチ「ブルームネッターレディフィオーリ」など、菓子のような甘い香りが若い世代に受けている。これまで、香水を使い始める若い人は軽やかでフレッシュなものを好む傾向があったが「今は柔軟剤など日常で香りに慣れ親しみ、香りの許容範囲が広くなっているのでは」と小磯さんは話す。

 一方、香水を使ってきた世代には、清潔感のあるシンプルな香りが人気だ。例えば、洗い立ての白いシャツを思わせる、クリーンの「リザーブウォームコットン」。TPOに合わせて使い分ける人も増えている。男性のビジネスには、都会的で洗練されたブルガリ「マンウッドエッセンス」などが、「きちんと感」を演出できる。

 また、ファッションと同じく、香水でも「性差のない波が来ている」。男性用というと、少し前はスパイシーで力強い香りだったが、今の若い男性は、あえて女性用から探すという。特に20代に人気なのが、みずみずしく清らかな香りのブルガリ「オムニアクリスタリン」だ。「男性はこうあらねばならない、という枠から出たいという気持ちもあるのではないか」と小磯さんは分析する。(神宮桃子)


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