クリトモのさかな道

蟹味噌の花

  • 文・写真 栗原友
  • 2019年1月22日

実はわたし、蟹(かに)にそんなに執着がありません。「おいしい蟹たべたーい」とか「冬はやっぱり蟹だな!」とか、そんな風に思ったことがないんです。ぜいたくだなって思われるかもしれないけど、正直、甲殻類はおすし屋さんに行っても自分からは頼まないですね。そしたら年末に夫が「死ぬほどおいしい蟹があるから食べたら好きになると思うから家族で食べに行かないか」と提案が。寒そうだけど娘にいろんなものを見せてあげたいし、家族ででかけるのも悪くないかも。というわけで、先週末行ってきました!

お刺し身、甘すぎる。ねっちりしてご飯と一緒に食べちゃった

訪れたのは京都府京丹後市にある間人という場所。「たいざ」と読みます。聖徳太子の生母「間人(はしうど)」が争乱を避けてこの地に身を寄せ、去るに当たって自らの名をこの地に与えたが、呼び捨てにすることをおそれ多く思った住人は皇后が退座したときに「たいざ」と読みかえた。とWikipediaに書いてある。面白い。

宿に着き、たいざがにフルコーススタート。まずはお刺し身。生の蟹、なかなか食べることできませんよね。甘くて甘くてとにかく甘い。これしか言えない。次にボイル。まあこれはそこそこおいしいの食べたことあるので想像通りのおいしさ。だけど味噌(みそ)の量が違う! これは一口食べて最後に残しておこう。

次はセイコガニ。内子がおいしいですね。こちらはかなりおいしいものを食べているので……。次は蟹の身が入った茶わん蒸し。そしてついに! 待ちに待った焼きガニです!

焼きガニ。味噌がやばい

焼きガニは生まれて初めて。炭火でじっくり焼いた蟹の身はふっくらしていて見た目にもおいしそう。殻が焼ける香ばしい香りが身に移り、味は甘味が強くて食感はやわらかい。蟹ってこんなおいしいの? と何度もくりかえしました。

炊きたての白米の上に甲羅焼きにした蟹味噌をとろり

お店の方が小さい器に炊きたてのご飯を盛ってきてくださって、その上に甲羅ごと焼いて加熱した蟹味噌をソースのようにかけてくれたのが衝撃的。ご飯もおいしい地元のお米を使っていたんだけど、これは本当にシビれた。

蟹味噌の花が咲いてます。鍋に具を入れる前に、先に蟹味噌を入れてスープとして

最後は蟹鍋。まずは出汁(だし)に生の蟹味噌だけ投入。すると蟹味噌に火がとおってふわっと花が咲いたように。これを小さな器で飲み干して、蟹と野菜を入れて鍋スタート。白菜やキノコに蟹のスープが染みて、これだけでごちそうに感じる。さっきの焼いた蟹味噌に日本酒を加えてごくごくと味噌酒を飲み、他にも日本酒やハイボールを飲んですっかりおなかいっぱいなのに、なぜかこの鍋はずーっと食べ続けてしまう。

蟹鍋。だしがおいしいから野菜だけでもすごいうまみ

最後に餅を入れて、もう入らないと思ったけど蟹スープが染みた餅なんて食べる機会ないと思って気合でたべた。でも辛くない! 休憩していたら雑炊が出来上がっていて、いやー、もう食べられないでしょなんて言っていたんだけど、残っていたボイルの蟹味噌と焼きガニの蟹味噌をダブルでかけて食べたらもう失神するほどおいしくて結局完食。蟹の魔力は強力すぎる。

蟹の卸をしている鮮魚店さんのご厚意でゆでたてをごちそうになりました

次の日、蟹の卸売業者の方のご厚意で、ゆでたてのたいざがにを食べさせてもらったけど、今まで私がゆでていたやり方は半分合ってるけど半分間違っていた。まあこれはまた別の機会に紹介したいと思う。蟹の脚をゆで汁にしゃぶしゃぶ3回して口の中へ。うちの娘は蟹は好きじゃないなんて言っていたくせに、夢中になって食べていた。

ゆで汁でしゃぶしゃぶ

やっぱ本当においしい蟹は違うわ! 丁寧に扱われて丁寧に調理された蟹は今までのものとは全然違った。ほんの小さなことでもとにかく細かく、丁寧に扱っていた。今年勉強になったこと第一弾。でもおいしい蟹は年に数回だけでいいや。特別なものだから!


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PROFILE

栗原友(くりはら・とも)料理家

写真

1975年生まれ、東京都出身。2012年から4年間、築地「斉藤水産」に勤務した。現在は料理教室を中心に活動する傍ら、魚料理の啓蒙や、魚を用いた食育に力を入れている。また、東京・浅草の遊園地「花やしき」内の居酒屋「夜のさわぎ」をはじめとする飲食店のプロデュースなど、幅広く活動中。近著に『クリトモの大人もおいしい離乳食』(扶桑社)、『クリトモのさかな道 築地が教えてくれた魚の楽しみ方』(朝日新聞出版)。http://kuritomo.co.jp/

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栗原友(くりはら・とも)料理家

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1975年生まれ、東京都出身。2012年から4年間、築地「斉藤水産」に勤務した。現在は料理教室を中心に活動する傍ら、魚料理の啓蒙や、魚を用いた食育に力を入れている。また、東京・浅草の遊園地「花やしき」内の居酒屋「夜のさわぎ」をはじめとする飲食店のプロデュースなど、幅広く活動中。近著に『クリトモの大人もおいしい離乳食』(扶桑社)、『クリトモのさかな道 築地が教えてくれた魚の楽しみ方』(朝日新聞出版)。http://kuritomo.co.jp/

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