スリランカ 光の島へ

<15>占いで安心は得られるか

  • 文・写真 石野明子
  • 2019年2月8日

&wの連載「ブックカフェ」やインタビューでもおなじみの写真家、石野明子さんが2017年、30代半ばにして移住したスリランカでのライフスタイルを伝える「スリランカ 光の島へ」。第15回は、スリランカの星占いのお話です。

    ◇

スリランカでは占星術が生活の中に溶け込んでいる。何か新しいことを始めるときや、家を建てるとき、結婚するとき、子供が生まれたとき、その家のかかりつけの占い師にアドバイスを求める。結婚式を始める時間も占い師が決める。そのため花嫁によっては夜中の2時からお支度が始まる場合もあるとか。結婚する2人の相性が悪ければ破談になることさえあるという。

私は占いを信じるほうではない。というか、他人からあなたはこうですよ、とかわかった風に言われたくない! みたいな30代後半にして思春期みたいなめんどくさい感情もあり、加えていいことを言われると「ああ、私を喜ばせようとしているんだ。占いにハマらせようとしている」と勘ぐったりする。

でもせっかく占いの盛んなスリランカに住んでいるのだ。どうせなら比べてみようと2人の占い師に占ってもらった。私の職業や状況は一切伝えずに、生年月日、生まれた時間、場所を占い師に前日までに知らせた。

1人は本業は建設関係だが趣味で始めた占いが評判を呼び、テレビに出て人生相談を受けるほどの占い師となった男性。
「強い星の下に生まれたね。自分で道を切り開いていくタイプだよ。順風満帆じゃないけど大丈夫、乗り越えられる。自営業がいいね」
ふむふむ悪い気分じゃない。そして私は自営業。

  

「あったかい人柄だね。自然体で優しい。ほら、そこの外の木みたいな感じ」
午後の光が差し込む窓の外には大きく枝を広げた木がキラキラした木漏れ日を作っていた。
うんうん、なんだかいい気分。
「土星が少し困難を運んでくる時期だ。それには....そうだな、護身術がいいね。カラテ、とかテコンドーとか」
スリランカでカラテを習うかどうかはわからないが、とにかく体を動かしなさい、とのことだった。そうすると心も強くなるからと。

仏教の国だからか、ブッダとの関わり方の説明は長かった。ブッダの像を家に置いて毎朝お祈りすること、自分が食事をする前に必ずブッダの分も用意することなど。それによって最悪の事態は避けられるそうだ。隣で一緒に行った私のスタッフがブッダ像を置く方角などを急に熱心に質問し始める。

もう1人は最大手のシンハラ語新聞で占いの欄を担当している女性(*)。私の友人がさまざまな占い師を試した結果、彼女が一番「アタル」とのことで私に紹介してくれた。
「プライドが高いから人にはあまり相談しないタイプ。友人はすごく少ないですね。3人くらいかな? でもその友人は一生ものですよ。そしてもっと人に頼っていいですよ」

これはあたり。これ以上友人の数が減らないよう大事にせねば。そして彼女は生まれてから今までのことを、こうじゃなかったですか? と確認するようにいろいろ言ってくれる。これは前出の男性になかったこと。聞けば教えてくれたのだろうか。
そして何年の何月何日まで運勢が良い、とかこの日は気をつけてなど、日にちがとても具体的。

「仕事はメディア関係がいいと思います。でもどこかに所属するよりは1人でやる方がいいですね」
自営業という点は男性占い師と一致。仕事もメディアと言えばメディアなのか。
「長生きしますよ。それから今は何か新しいことを始めるのにとてもいい時期です。思ってもいなかった成功をするかも」

  

実は同じことを前出の男性占い師も言ってくれた。2人とももっとも充実した時期が2016年(スリランカに移住した年!)から2026年まで続くと言い、その後は良くも悪くも大きな波はない、ボランティアに積極的に取り組んでとのこと。ただ男性占い師は観光産業に関わるといいと言った。なんと今スリランカのガイドブックを書いている!

「何か質問はありますか?」と聞かれた。
スリランカに移住し写真スタジオを立ち上げるというかなり思い切った決断をした私たち夫婦、貯金金額もかなり思い切った右下がりを描いている。「私たちに穏やかな老後は訪れますかね?」と聞きたくなったけれど、きっと占いで教えてもらったことをちょっと心の隅に置いて、良いことは実現させるように、悪いことは実現しないように努力することが占いとのつきあい方なんだろうなと思い、その質問はやめた。

表題の「占いで安心は得られるか」について。答えはノーだ。だって同じ生年月日の人物が同じ人生をたどるとはいえないし、やっぱり最後は自分次第。でも占いにこれから起こるかもしれない未来のワクワクをちょっと見せてもらった。そうなるように日々コツコツ。
スリランカでちょっと楽しい未来、のぞいてみませんか?

*細かく鑑定してくれた女性占い師の情報は3月末発売のスリランカガイドブック『旅のヒントBook スリランカ』(イカロス出版)に掲載しています。

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PROFILE

石野明子(いしの・あきこ)

いしのあきこ

2003年、大学卒業後、新聞社の契約フォトグラファーを経て06年からフリーに。13年~文化服装学院にて非常勤講師。17年2月、スリランカ、コロンボに移住して、写真館STUDIO FORTをオープン。大好きなスリランカの発展に貢献したいと、その魅力を伝える活動を続けている。
Instagram @studiofortlk
http://studio-fort.com/
http://akikoishino.com/

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石野明子(いしの・あきこ)

いしのあきこ

2003年、大学卒業後、新聞社の契約フォトグラファーを経て06年からフリーに。13年~文化服装学院にて非常勤講師。17年2月、スリランカ、コロンボに移住して、写真館STUDIO FORTをオープン。大好きなスリランカの発展に貢献したいと、その魅力を伝える活動を続けている。
Instagram @studiofortlk
http://studio-fort.com/
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