モードな街角

絶妙な味!イングリッシュ・ブレックファストうどん

  • 文 武・マッカートニー
  • 2013年9月4日
モダンなカウンターキッチンが広がる「こや バー」。内装の一部は、ロンドンで人気の「レイラズ・カフェ」を手がけたマイケル・マリオット氏に依頼

写真:イングリッシュ・ブレックファストうどん!毎朝8時半から営業する「こやバー」では、これを朝食メニューとして出している。ソーホーでは早朝から営業しているカフェが多いイングリッシュ・ブレックファストうどん!毎朝8時半から営業する「こやバー」では、これを朝食メニューとして出している。ソーホーでは早朝から営業しているカフェが多い

写真:フィッシュ&チップス。白身魚は北大西洋産で、絶滅の心配が少ない種類を使用フィッシュ&チップス。白身魚は北大西洋産で、絶滅の心配が少ない種類を使用

写真:淡い色の大麦麦芽から生まれるロンドン産のペールエール。うどんに合うようなイギリスや欧州のアルコールを厳選しているのも、「こや」ならでは淡い色の大麦麦芽から生まれるロンドン産のペールエール。うどんに合うようなイギリスや欧州のアルコールを厳選しているのも、「こや」ならでは

写真:オーナーのジョン・デヴィッド氏は、四国を旅して讃岐うどんに感激したという。金融業界での仕事を辞め、私財をはたいて「こや」を立ち上げたオーナーのジョン・デヴィッド氏は、四国を旅して讃岐うどんに感激したという。金融業界での仕事を辞め、私財をはたいて「こや」を立ち上げた

写真:「こやバー」の外観。この小さなピンクの小屋マークが見えたら、そこであなたもイングリッシュ・ブレックファストうどんを召し上がれ!「こやバー」の外観。この小さなピンクの小屋マークが見えたら、そこであなたもイングリッシュ・ブレックファストうどんを召し上がれ!

 先日、とある讃岐うどんの店に行って「イングリッシュ・ブレックファスト」なるものを注文した。出てきたのは、ベーコン、目玉焼きにマッシュルームが乗ったうどん……。一口食べるや否や、ベーコンの香ばしさと、いりことかつお節の出汁の見事なハーモニーに感動。こんな組み合わせは、人生初!

「そんなメニューを出す店はあるのか?」と半信半疑な読者もいらっしゃるかと思う。しかし本当にあるのだ。ロンドンに来れば、の話だが。

 3年前からソーホー地区をにぎわせている「こや」の2号店「こやバー」のオープニングにおじゃまして口にしたのが、このうどん。メニューには「フィッシュ&チップス」もある。しかし、これにも「こや」なりの“翻訳”がされており、天ぷら風に上げてあるので、イギリス人が作るそれよりもあっさりしていて食べやすいのだ。

 「こやバー」のシェフは小田周子さん。日本では慶應義塾大学の環境情報学部、ロンドンではゴールドスミス・カレッジで文化学の修士を学んだ、クリエイティブな人である。「子供の頃、朝ご飯の目玉焼きに醤油をかけている祖父の姿を見て以来、洋食に和の調味料を加えるということに思い入れがあります」という小田さんなりにアイデアを膨らませ、讃岐スタイルのうどんの上にそのままイングリッシュ・ブレックファストを乗せたようなダイナミックな組み合わせ、でも味は繊細――というものが実現した。

 最近、イギリスやヨーロッパで外食して確信するのが、和と洋をうまく融合させたレストランが成功している、ということ。先日、コペンハーゲンの「ノマ」で食事をした際も、日本のレシピをほんのりとミックスしているところが成功の秘訣だと確信した。

 同レストランは、サンペルグリノとアクアパンナが主催する「世界のベスト50レストラン」で2010年から12年まで1位に輝いた店で、シェフのレネ・レドツェピによる「コケやアリを食す」という斬新なアイデアなどが注目されている。和の味付けをプラスするだけでなく、おしぼりを出すといったテーブルでのプレゼンテーションにも、和の影響を多く感じる。

 「ノマ」の場合は、地元の料理に日本の味を足すというやり方。一方「こや」は、イギリス人にとっての外国料理に、地元のエッセンスを採り入れる、というやり方である。両者に共通しているのは、シェフが自分の出身国の伝統を理解して重んじているということ。そのうえで他国の要素もしっかり学んでミックスしているところが、見事なモダニズムを実現しているのだと思う。

 ところで、最近ロンドンでは伝統的なパブがリノベートされたり、イタリアンやタパスなどのおいしいレストランが次々と登場したりしている。しかも、ロンドンでしか食べられないおいしいうどんもあるのだ。ぜひ、食を楽しみにロンドンに来られてはいかがだろうか?

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PROFILE

武・マッカートニー

東京都生まれ。東京でファッション誌の編集経験を経て単身渡英、英国王立芸術院を卒業。卒業後もロンドンに拠点を置き、フリーランスで英国はもちろん、ヨーロッパや日本の雑誌やブログに寄稿、翻訳業などを続けている。過去にはビクトリア&アルバート美術館におけるエキシビションカタログに寄稿したこともある。


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