モードな街角

東ロンドン 閉鎖マーケット20年後の復活

  • 文 武・マッカートニー
  • 2014年3月5日
いつもにぎわっているマーケット内の「ヴェネチアズ・カフェ」。オーストラリアスタイルのコーヒーがおいしい

写真:毎週日曜、学校の敷地をマーケットに開放。新鮮な野菜、パン、サンドイッチ、ヤギのミルクでできた石けんなど、様々なものが屋台にひしめく 毎週日曜、学校の敷地をマーケットに開放。新鮮な野菜、パン、サンドイッチ、ヤギのミルクでできた石けんなど、様々なものが屋台にひしめく

写真:インド直輸入のアクセサリー、ヴィーガンのためのお菓子などが売っている インド直輸入のアクセサリー、ヴィーガンのためのお菓子などが売っている

写真:半年前にオープンしたカフェ「ナナ」。なんと公衆便所を改装! 建物は20年間使用されていなかったという 半年前にオープンしたカフェ「ナナ」。なんと公衆便所を改装! 建物は20年間使用されていなかったという

写真:便器の上でイングリッシュブレックファストと紅茶を堪能。筆者も少々戸惑った…… 便器の上でイングリッシュブレックファストと紅茶を堪能。筆者も少々戸惑った……

写真:最近オープンした「ロンドン・ボロー・オブ・ジャム」。自家製のジャムや、ニューヨークで注目の「マストブラザーズチョコレート」も置く、高感度な店 最近オープンした「ロンドン・ボロー・オブ・ジャム」。自家製のジャムや、ニューヨークで注目の「マストブラザーズチョコレート」も置く、高感度な店

写真:30軒ほどの屋台のすぐ横には、昔からあると思われる店が連なる。マーケットの盛り上がりとともに、ここも変化していくのではないだろうか 30軒ほどの屋台のすぐ横には、昔からあると思われる店が連なる。マーケットの盛り上がりとともに、ここも変化していくのではないだろうか

 以前、ロンドン南東部の高架下にできた「モルトビーストリート・マーケット」をご紹介したが、今回は北東部・ハックニー地区で復活を果たした「チャッツワースロード・マーケット」に注目したい。

 このマーケットは1930年代に始まり、200程度の屋台が週4~5日、チャッツワース通りにひしめいていたのだが、第二次世界大戦以降、スーパーマーケットの台頭により90年代に閉鎖に追い込まれた。

 しかしその後、地元住民と業者がマーケット復活を求め続け、2000年ごろからは家賃の安さや空き家の多さを理由に中流階級や若いアーティストなどが流入。マーケットは10年に復活を遂げ、11年6月からは毎週日曜に定期開催するまでに至った。現在では30ほどの屋台が営業している。

 広報担当のダイアン・カミングスはこう話す。
 「過去5年でこの地区は活性化しました。若くてクリエイティブな人たちが引っ越してきたことがおもな理由です。土曜の夜にパーティーをして、お昼近くに起き、日曜にマーケットにやってくるような感じですね」

 ハックニー地区が注目を集めるのは、東ロンドンの人気エリアであるホクストンやショーディッチが発展しきってしまったことも関係している。アメリカのトレンディーな「エースホテル」がショーディッチにオープンしたことが、それを象徴していると言えるだろう。もはや彼らが住めるところではなくなったようだ。

 マーケットで働く人の約6割が地元住民で、その多くが若者だ。新たな波がここチャッツワース通りに確実に来ている。しかし、人気が高まると家賃が上がるのも世の常。15年前に比べて家賃が3倍以上にも跳ね上がった物件もあるという。

 1年前に定年退職し、スペイン人の妻とマーケットの近くでスペイン料理のデリの経営を始めたイギリス人がこう話していたのが印象的だ。

 「この地区に30年前に引っ越してきたけれど、当時は今みたいな発展など想像もつかないほど荒れていたよ。知り合いはみな、『なぜそんなところに引っ越したの?』と目を丸くしてたからね(笑)」。

 大量に同じ品を揃え、買い物のスピードを追求する大手スーパーは大いに利用価値がある。しかし、売り手と買い手が顔を合わせながら会話し、人同士がつながれる古き良きショッピングのスタイルを、今、皆が恋しく思い始めているのではないだろうか。

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