ニッポン人名鑑

<17>本の面白さを伝える企画屋 内沼晋太郎

  • 2015年7月27日

  

内沼晋太郎(うちぬま しんたろう)
ブック・コーディネイター
1980年6月20日生まれ

    ◇

 若者の活字離れが進んでいるというが、原因は読まない人にあるのではなく、本の面白さをきちんと伝えていないからではないだろうか。大学時代にそう気づいたことから、「人が本と出会うきっかけを作る」仕事を始めて10年余り。手法が実に独特だ。

 例えば、2012年に東京・下北沢にオープンした新刊書店「B&B」では、店内でビールやコーヒーを提供し、実際に使用しているヴィンテージ家具を委託販売するほか、イベントを毎日開催。本のある場所と人とをつなぐ工夫をいくつも仕掛け、街の書店のこれからのあり方を提示している。さらには「読書に“形から入る”ことがあってもいい」と、スタイリッシュな読書用品ブランド「BIBLIOPHILIC」を協業するなど見事な発想力に驚かされる。

「もし僕の発想力が優れているとすれば、それは昔からずっと出しつづけているからだと思います。筋トレみたいなものですよね。目の前の課題をどう解決したらいいかを考えるところから始まって、そこからついでにまったく関係のないアイデアを思いつくこともあります」

 的確な分析から生まれるユニークな視点が評判を呼び、本や出版以外のジャンルの企業から相談を持ち掛けられることも少なくない。

「視野が広いというよりは、ただ単に、自由なんです。組織に長くいるとどうしてもそこの常識でしかモノを考えられない癖がついてしまうけど、僕は幸か不幸か(笑)、最初からほぼどこにも所属せずにやってきたので、外からの風として求められることが多いですね。でもそれは、組織の外と中のどちらが良いとか悪いということではなく、役割分担かな、と思っています」

 情熱と実行力に溢れながらも、どこか飄々としていて泰然自若。最新の著書『本の逆襲』では、本の未来を明るく照らすための見解や独自のノウハウを惜しげもなく公開している。

「世の中に広義の本や書店がたくさんあることが豊かだと思っているので、方法論を隠す理由がないんです。僕がやっていることはひとつの事例なので、それをヒントにどんどん行動を起こしてほしいですね」

(文・志村香織、撮影・松岡一哲)

「AERA」2014年2月17日号より

     ◇    

今のニッポン、これからのニッポンを支えるキーパーソンを紹介する『21世紀をつくるニッポン人名鑑』から転載します。

(次回は8月3日に配信予定です)

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