ADウォッチ

「住所」の概念を覆す、3つの単語の組み合わせ <カンヌライオンズ2015>

  • 2015年10月7日

  

  •   

  •   

  •   

  • GPSと地図で、今いる場所の3wordsを表示できる

  • ハチ公像の場所

 日本で暮らす一人ひとりに12桁の番号を割り振るマイナンバー(社会保障・税番号)法が5日、施行された。この社会には同姓同名や生年月日が同じ人、外見がそっくりな人もいる。この制度の導入は、広い世の中で個人を特定するのがいかに困難かを表しているともいえるだろう。

 個人と同じく、場所を特定することもまた、とても難しい作業になる。日本に住んでいると想像しにくいことだが、世界には「住所」がない場所が多く存在し、病院や学校、自宅などの正確な住所を知ることに苦労している人が大勢いる。世界最大級の広告祭「カンヌライオンズ」で今年から新設された「イノベーション部門」でこの作品がグランプリとして紹介されるまで、そんな事実があることすら知らなかった。

 イギリスのスタートアップ「what3words」が新サービス『3 words to address the world』をプレゼンすると、その革新的かつスマートなアイデアに参加者から大きな拍手が巻き起こった。その内容を一言で言えば、「地球上のあらゆる地点を3つの単語の組み合わせで指定するサービス」。彼らによると、世界中の75%の地域は住所がない、もしくは十分な特定ができず、40億人が住所を持たない状況下にあるという。その不都合を解消しようと開発されたサービスだ。

 彼らはまず、地図で表示される地球上のすべてのエリアに3×3メートルの網をかけ、一つ一つのブロックごとにランダムな3つの単語の組み合わせを割り当てた。What3wordsのサイト(http://what3words.com/)やアプリを開き、地図上である地点を選択すれば、その地点の「住所」が表示される。たとえば、こんな感じ。

 ロンドンの大英博物館の入り口付近は「voted,expand,dream」
 サウジアラビアのメッカは「camped.branch.comfort」

 アプリは日本語にも対応していて、東京・渋谷の「ハチ公像」(東京都渋谷区道玄坂2丁目)の地点は「rainbow.sharp.sleep」となる。

 世界中のあらゆる地点をたった3つの英単語の組み合わせで表すことができるこのサービス。動画では、what3wordsのメンバーが、住所を持たない家などにその地点の「住所」を書いたステッカーを貼り付け、住所を割り当てている様子が紹介されている。行政サービスや荷物の宅配、水道などのインフラサービス、地域ビジネスにも活用できるし、急病の際に救急隊に素早く場所を伝えることができるようになれば、救われる命が増えるかもしれない。このように、活用法次第で発展途上国の人々の生活が格段に向上する可能性を秘めている。

 3×3メートルというかなり細かい範囲で位置を特定できるため、すでに住所が細かく決まっている先進国でも活用できる方法がある。たとえば、広大な遊園地や公園、博物館などで友人や家族とはぐれてしまった時。住所がわからない高速道路上で立ち往生してしまった時。山の中や海の上で遭難しそうになった時……。言語が通じない異国の地での観光や待ち合わせにも役立ちそうだ。「『enjoy.beautiful.city』で待ち合わせね!」なんて、一度は言ってみたい。

 この画期的なサービスがイノベーション部門のグランプリに選ばれたことが、今年のカンヌライオンズの雰囲気をよく表していると思う。「イノベーション」と言っても、最先端技術を使った複雑なメカや、高度なプログラミングで組み上げられたソフトばかりが対象になるわけではない。わかりやすいインターフェースを使い、世界中のあらゆる場所を3単語で表す。そのシンプルで洗練された発想自体がイノベーティブだと、高く評価されていた。

 本当に革新的なサービスとは、それが最先端か否かにかかわらず、人々がほんとうに必要としていることを追求した先にあるのかもしれない。あなたの自宅の3wordsも一度調べてみては?

3Wordsが調べられるWebサイトはこちら。
http://what3words.com/

[PR]
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

&wの最新情報をチェック


&wの最新情報をチェック

Shopping