インタビュー

41歳の決断 ~蝶々さん、母になる。<1>

  • 2016年2月4日

蝶々さん

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「小悪魔」エッセイで知られる蝶々さんが、41歳にして母になっていた――。

新刊『蝶々、ママになる。』(集英社)では、妊娠の予感から激しいつわり、高齢出産の実際までを赤裸々に公開している。小悪魔女子のカリスマリーダーだった蝶々さんが、母になり、いま何を伝えたいのか。本からあふれ出た気持ちを、3回にわたってお聞きします。

    ◇

――『蝶々、ママになる』、驚きながら読みました。自由に世界を飛び回り、女性たちにエールを送ってきた蝶々さんがなぜ、出産について書こうと思ったのですか?

 いまネットなどでの「炎上」を恐れて、本音を言いにくくなっているけれど、出産について「こういうケースが実際にありました」という自分の体験談を伝えたかった。これまで相談を受ける立場でしたが、自分自身は40歳近くまで仕事をしていたから、妊娠と出産については、やってみなければわからないことがたくさんありました。忙しかったり、大変だったりすることもあるけれど、本能に従っていることだから、今は幸せしかない。本当にそれぞれのタイミングが来たら、女性にはぜひ経験してほしいことだなと。出産は「超おすすめ」です。

自分は産みたいのか。一度、真剣に考えてみる価値はある

――不妊治療をしている人も多いなか、高齢出産といわれる年齢以降になると、相手に配慮して、出産をすすめるのは難しくなりますよね?

 毎日通勤をして忙しく現実に向き合っている人たちに、「出産は楽しい」とは言いにくいので、会社員のママさんなどは抑えていると思います。私は個人として発言させていただける立場なので、「おすすめ!」と叫んでいますけど、もし苛立ちがあったら、私にぶつけてもらってもいい。私のまわりの方々でも不妊治療をしている人が多いですが、そもそも不妊治療をしなくてはいけない理由はなにか、まず身体や生活を整えたほうがいいのではないかとも思うけれど、女性の場合は現実的な体のリミットがある。そんなことを言っていたら時間がなくなるから、それも言いづらい空気ですよね。

 私の読者もベビーブーム世代が多いので、時代の変化とともに社会進出して、一生懸命やってきて、「私これで幸せなの?」とはっと気づいたときに、子どもを産む時間がないとみんなあせっている。私は「大丈夫」と言うより、むしろ「あせったほうがいい」とカツを入れています。私が通った産院も45歳で初産の人がいましたが、身体の状態も人それぞれ。私たちには本能があるから、やる気になって自分の生活を変えたり、本気になって、今できることをすれば、アラフォーの女性は3年で出産に間に合わせる目標がいいのではないかと思っています。出産の可能性を真剣に考慮しはじめると、忙しさに流されがちな生活スタイルやパートナー選びの基準も、自然に変わっていくと思うのです。「自分は産みたいか、否か。そのためには何を変えることが必要か」、一度真剣に考えてみる価値はあると思います。

――高齢出産の不安を払しょくしたい人は?

 リアルな情報を押さえつつも、ハッピーでいようとするコミュニティと接続することです。私も高齢出産のリスクなどよく知らなかったのですが、妊娠を機にたくさん情報が入ってきて、どんどん不安になった。「イケる」と背中を押してくれるような、先輩の話を聞くことも大切だと思いますよ。

「もうやるしかない!」というところまで腹落ちした

――蝶々さんが出産を意識されたきっかけは何だったのでしょうか?

 私は2014年に41歳で妊娠、出産しましたが、その3カ月前に自分と徹底的に向き合ったことがあるんです。その前から子どもを持つことについて、意識する出来事はありましたが、真剣に考えていませんでした。タイの山奥で外国人の友だちと遊んでいたとき、コンピュータとスマホが突然使えなくなり、「いい加減にしなさい」と神様に怒られた感じがしました。3日3晩、自問自答しました。ほんとうに自分は子どもを今から産めるのか。責任を持って育てられるのか。どこで育てたらいいのか。仕事はどうするのか。仕事の仲間とどう調整したらいいのか。読者のみんなにどう説明したらいいのか。自由気ままに生きてきて、ほんとうに自分を変えられるのか。全方位シュミレーションしたら、「もうやるしかない!」というところまで腹落ちしました。人生初の血尿が出たぐらい考えぬいたんです。

――それが、妊娠、出産の決断だったのですね。

 今どうしようと思っている人は、あわただしい毎日にのまれて過ごすのではなく、2、3日どこかへ行って、スマホも切って、「これからどう生きる?」と、自問自答してみたらいかがでしょうか。読者の方にもいました。誰ともつきあったことがなくて悩み、「助けて」とがちがちになっていた。そして、考えた末、「私このままひとりでも生きていける」と吹っ切れたそうです。すると、出会いが舞い込むようになり、初めて交際を申し込んでくれたのが今の夫だったそうです。いい話でしょう。

 現状から逃げようとか、苦しい毎日がいやだといっているだけでは、一生泡をつかむだけだと思うけれど、一度足を止めて考えてみる。私は産んでよかったから、「おすすめ」と言っているけれど、産まない女性の人生ももちろんすてきだと思っています。最近、飛行機で席が前後になって、華やかなキャリアの女性政治家の方とお話をする機会があったのですが、「子どもを産まなかったことに、ある時、これでよかったのか、と考えることはあった」という話をされていました。社会的に活躍されている方でもそんなふうに思うのです。もし、可能性がある人は、「待っていよう」という姿勢ではなく、自問自答して、ほんとうに「子どもがほしい」と心に決めたら、何かが変わると思う。この本(『蝶々、ママになる』)や私の言葉に「あれ?」と感じた時点で、何かが始まっていると思います。

本来の自分や、野生の本能を取り戻すことは大事ですよね

 私も実は長い間、「私が産まなくてもいい。赤ちゃんがほかの若い母体を選んでくれればいい。私は外から関わっていくから」という気持ちでいました。でも、「子どもはお母さんを選んでやってきている」と神様からのメッセージをまた受け取りました。

 実際、最近世界中で胎内での記憶をしゃべる幼児たちが増えているそうで、各種の本も出版されているのですが、だいたいの子どもはお母さんがかわいいからとか、必死にがんばっているから、さみしそうだったから、力づけてあげたいとか、そういう泣ける理由でお母さんを選んでくるようですよ。未来のお母さんにそれをキャッチしてほしいですよね。

――誰もが、子どもや人生に関わる大切な「サイン」をキャッチできるのでしょうか?

 結婚したり、子どもができたりするのは、何らかの不思議な力によって起こることだと思います。東京で毎日満員電車に揺られていると、いろんなサインを感じ取る原始からの、あるいは野生の力が損なわれがちなのではないかと思います。本来の自分や野生の本能を取り戻すことは大事ですよね。東京でいい男と女がいても、お互い気づかないで過ごしている。

――どのように、相手の男性の方と出会ったのですか?

 前から知っている、友だちのひとりでした。でもやはり、私と同じように東京の慌ただしさや環境に強く疑問を感じている方でした。

 子どもを産むと決めてから、何かの力に導かれているように、この彼といつも一緒にいる流れになって、妊娠しました。結婚には自分は向かないと思っていたので、まだ入籍はしていませんが、将来はどうなるかわかりません。男女の瞬発力というか、情熱の力は必要でしょう。相手のことをいいな、と思っていても、結婚とか妊娠とか推し進める「野性的な力」はなくなってきていると思います。地球上でもいろんな危機的な状況があるなかで、真剣に何かを捨てて、何かをとるというふうに覚悟を決めないといけないのではないでしょうか。

早寝早起きをしたり、パソコンを使う時間を最低限にしてみたり

――子どもが欲しいと思っても、相手の男性と出会えないと嘆く女性も多いですが……。

 多いですね。一日も早く産みたいと言っているのに、女子会を開いて、自虐ネタを披露したり、いい男がいない、と愚痴をいいあう。そんなことをしていたら、いつまでも出会えない。

 私自身も産院の先生方に言われ、また妊娠・出産を通して痛感したことですが、キャリアを積んで成功していることと、母体としての身体や心の状態がいいかどうかは違う。授かりはぐくむことは、当たり前ですがもっと生物学的な問題で、望むのならやっぱり母体や環境づくりなど、やはり本気で取り組むべきことである、と気づいてほしいのです。もちろん、知的だったり、人脈を築いていたりすれば、すてきなお母さんになりやすいと思いますが、私自身も母になるうえで、改めるところがたくさんありました。妊娠、出産をするうえで、現代社会でつちかわれがちな傲慢な気持ちに改めて気づかされる。早寝早起きをしたり、パソコンを使う時間を最低限にしてみたり、親や祖母、町で出会う他の先輩ママさんたちの話に耳を傾けてみたり。そんな、当たり前のことを細かく重ねて、社会がつながっていく。その感覚が子育てにとって大切だと思います。

――「少子化対策」として、出産を奨励する社会的な動きはありますが、蝶々さんのメッセージは、「女性たちが本来の姿に戻る」ということを応援していますね。

 時代や社会的な問題もあり、女性が本来の姿でなくなって、女性としての本能をゆがめられすぎていると感じます。便利やキャリアを優先しすぎて、女性性を100%解放したり満喫できない。それは私たち女性たちにとっても、本当はとてもつらいことなんだと思うのです。

 多くの方は、自分が老後まで、一生懸命生きることを考えているけれど、ほんとうは子どもたちが次々にすこやかに育っていく時代が新しい未来。そこに、頭がいいだけでも、社会的に要領よく生きていけるだけでもなく、しっかりと人間の本能としての力や社会的なマナーもある、バランスを取れた人たちをどう育成していくか。女性は命や人生の「バトンをつなぐ」ことを意識すべきだと思います。

 小悪魔の時代も、様々な経験を経てママになった今も、私は、メッセージを受け取ってくれる女の子たちに、「となりのお姉さんの経験」として、はっぱをかける役割なのかもしれません。もちろん、子どもを産むということだけではなくて、子どもたちの成長には、地域社会だったりお役所だったり、医療や文化・教育面だったりと、いろんな人たちが、いろんなかたちで関わっていきます。

 いまは、すべての女性たちが、自分の子どもを産む産まないにかかわらず、女性なら皆持っている素晴らしい母性や女性の力を、将来の世代につないでいく作業をするべきときに来ているのだと感じています。

(第2回に続きます)

(聞き手・斉藤真紀子)

    ◇

蝶々(ちょうちょう)
作家・エッセイスト。2002年『銀座小悪魔日記』でデビュー。その後出版された『小悪魔な女になる方法』が50万部を超える大ベストセラーになり、一躍、若い女性のカリスマ的存在となる。「小悪魔ブームの火付け役」といわれ、『小悪魔A』『ひらきかた』などエッセイや小説の著書多数。

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