ニッポン人名鑑

<44>ネパールの女性の頼れる味方 向田麻衣

  • 2016年2月8日

  

向田麻衣(むかいだ まい)
メイクアップアーティスト
1982年10月24日生まれ

    ◇

 ネパールで人身売買の被害に遭い、保護されている女性たちに「化粧をする」機会を提供し、メンタルケアに取り組む「コフレ・プロジェクト」を2009年に開始。また、2013年にはネパール発の化粧品ブランド「Lalitpur(ラリトプール)」を起業。ヒマラヤ産の原料を用いたオーガニックなスキンケア商品の製造・販売を通して、ネパールの女性たちの雇用創出と自尊心の回復に励んでいる。彼女がそんな道を選んだのは、15歳のとき、ネパールで女性の識字教育やITビジネスによる産業発展に努めていた故・高津亮平氏に出会ったのがきっかけだった。

「ボランタリーな活動と雇用を生むビジネスの両輪で社会に貢献するという形があることも初めて知ったし、なにより高津さんの生き方が素敵で、ものすごく憧れました」

 宮城の森の中の、外国人が頻繁に出入りするログハウスで育ち、いずれ海外に出て多彩な文化に出合いたいという夢はあった。さっそくアルバイトでお金を貯めてネパールへ。自分の目で現実を直視し、方針が固まった。

「途上国支援のやり方として『かわいそうだから支援してください』と呼びかけるのは違うなと。どんどんエスカレートして、過剰にアピールしないと同じ金額が集まらなくなり、結果、日本に入ってくる情報も極端なものに偏りがち。でも実際には、支援活動はドラマチックなことでもなんでもない。自分は淡々と必要なことをして、現地に変化を起こそうと決意しました」

 以来ずっと、「自分が好きで情熱を注げることをして、それが少しでも誰かの役に立てばうれしい」という、あくまでも個人的な気持ちで動いている。

「よく『ハードな環境に飛び込む勇気はどこから?』と聞かれますが、勇気なんて1ミリも出してません(笑)。私はネパールが好きで、そこで出会った小さな女の子たちに会いたくて続けているだけ。みんな、その人が夢中になれることを突き詰めていけばいいと思うんです。いつか絶対に誰かの役に立てるから。それが何億人であろうと、目の前の大切なひとりであろうと」

 昨年から新たにNYにも拠点を据え、目下、ビジネス拡大の準備中。起業家を応援する土壌を追い風に、自らの個性と現地のニーズがマッチする支援活動をさらに加速させていく予定だ。

「AERA」2015年5月4・11日号より

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今のニッポン、これからのニッポンを支えるキーパーソンを紹介する『21世紀をつくるニッポン人名鑑』から転載します。

(次回は2016年2月15日に配信予定です)

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