ニッポン人名鑑

<46>着て楽しむロボットの開発者 きゅんくん

  • 2016年2月22日

  

きゅんくん
ロボティクスファッションクリエイター
1994年7月12日生まれ

    ◇

 小学生のころからメカが好きで、将来の夢はロボットを作ること。その後、ファッション、アート、演劇など趣味の幅を広げながらもロボットへの愛はやまず、高校時代に被服部に所属したのを機に「ロボティクスファッション(着られるロボット)」の制作を志して独学を開始。現在は大学で機械工学を学びながら、金属加工から電子工学、縫製までを自ら手がけ、日々作品作りに励んでいる。

「メカは可愛い。モーターとか、配線がウニョウニョしているものもキュンとします」

 話題のアップルウォッチをはじめ、ウェアラブルデバイスの多くは身体機能を拡張する利便性が目的だが、彼女が目指しているのは、ファッションのように楽しむロボット。

「一般的にはロボットって自分の意志の通りに動くように設計するものですが、逆にそれがつまらなく思えてしまって。人間同士だって相手と完全にわかり合えることはないのだから、そういう齟齬(そご)がロボットとの間にも欲しい。ファッションの観点から生まれたものですが、存在としてはペットに近いかもしれません」

 テキサスで行われた音楽と技術のフェス「サウス・バイ・サウス・ウエスト2015」で発表した最新作「Metcalf(メカフ)」を試着させてもらうと、アルミ製のためさほど重くなく、小さなモーター音とともにアームが動くさまがどこか生き物のようにも感じられる。その気配に安心感を覚える人も少なくないとか。最近は改良を重ねながら約3ヵ月に1度のペースで作品を発表。最終的には量産できるレベルに到達するのが目標だ。

「もともとハードウェアが好きなんですが。いずれはインタラクティブ性を持たせるなど、ソフト面も発展させていきたいですね。例えば、センサーを付けることで、ほかの人が近づいたらよけるようにするとか」

 とはいえ、会話ができるロボットや心を持つロボットを作るつもりはないという。

「私にとってはロボットに人格は必要なくて機械に一方的に愛情を持つような状態がベスト。アニミズムに近い感じです。

 ちなみに「きゅんくん」の由来は中学時代からのあだ名で、本名は松永夏紀。「夏紀くん」から派生して「きゅんくん」となり、以来「本名で呼ばれたことはほとんどない」という。

「AERA」2015年6月1日号より

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今のニッポン、これからのニッポンを支えるキーパーソンを紹介する『21世紀をつくるニッポン人名鑑』から転載します。

(次回は2016年2月29日に配信予定です)

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