ほんやのほん

大人による、大人のための「大橋歩」

  • 勝屋なつみ
  • 2013年10月25日

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 今、「大橋歩」と格闘をしている。11月6日から、代官山 蔦屋書店で「大橋歩の仕事」展を開催するからだ。12月5日には、トークイベントもやることになった。

 大橋歩は、1964年に創刊された男性週刊誌『平凡パンチ』の表紙イラストを描く人として、突然世の中に現れた。そのとき私は10歳。ゆえに最初の思い出は、中学校時代。透明下敷きにおしゃれでかわいい同誌の表紙を切って挟むのが流行っていた。

 ただし、ヌードもある男性誌だ。中学生女子には買えない。その下敷きを持てるのは、お兄さんがいる子に限られていた。私は姉しかいなかったため、あきらめるしかなかった。

 そのうち、『平凡パンチ』の女性版『an・an(アンアン)』が発刊され、そこで大橋歩は、イラストだけでなくエッセイも書くようになる。そのエッセイが、これまたステキだった。独特な口調で、恋について、セックスについて、結婚について、友達について、正直に語っていた。そんなふうに、大橋歩は仕事もたくさんこなしていたが、家族とのフツーの生活も大切にしていた。

 私は1983年に、平凡出版(現・マガジンハウス)に途中入社し、『クロワッサン』編集部に配属された。編集者としての最初の仕事が、特集「セクシーって、なにサ」。その最初のページが、大橋歩の女性のヘアヌードのイラストだった。今の『クロワッサン』から思うと、過激なタイトルで、過激なイラストだったかもしれない。でも、それもとてもステキだった。

 何年か経って、大橋歩と絵本作家の柳生まち子との「往復書簡」という連載の担当となった。憧れの大橋さんとの初めての仕事だった。この連載は、別の編集者の手によって『おしゃれ手紙』という1冊の本になり、今も手に入る。

 そして、大橋歩が何よりすごいのは、60歳を過ぎてから個人季刊誌『アルネ』を立ち上げたことだろう。企画から、取材、写真、編集まで一人でやり、広告も自分で取りにいった。

 きっかけは、「イラストの仕事が減ってきたから、何かおもしろい仕事をしたいと思った」から。残念ながら、『アルネ』は2009年、30号で終了。しかし翌年、年2回刊の『大人のおしゃれ』を立ち上げた。この雑誌も、ひとりですべてを手がける『アルネ』方式で作られており、9月に8号が出たばかり。何もかもが平均的に美しいモデルは登場しない。リアルに生きている人たちの、大人のおしゃれが紹介されている。それが、とてもステキだ。今、73歳。すごいよね。

    ◇

『大人のおしゃれ8』(イオグラフィック)
840円(税込み)

『おしゃれ手紙』(マガジンハウス)
大橋歩(著)
1,631円(税込み)

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PROFILE

勝屋なつみ(かつや・なつみ)

食べることは生きること――。代官山 蔦屋書店の料理本コーナーは「医食同源」をテーマに掲げ、書籍や食品をセレクト。女性誌の元編集長として培った知見をもとに、コンシェルジュとして個性的な提案をしている。


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