山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

<特別編>「Life」を豊かにする働き方 山崎亮

  • 2014年4月10日

 何のために働くのか。シアワセを生みだす働き方とは――。そんなテーマをもとに、ハタラク・エキスパートたちを迎えての連続トークイベント「〈ハタラク〉をデザインする」。6回にわたるイベントの締めくくりとして、対談のホスト役を務めてきたコミュニティーデザイナーの山崎亮さんによる特別編が3月18日、品川プリンスホテルNタワー・ビジネスラウンジで開かれた。

 山崎さんは「〈ハタラク〉たのしさをどうつくるか」について、自身の体験を交えて語った後、ワークショップで三つのお題を投げかけた。「こんな仕事がしてみたい」。「こんな場所で働いてみたい」。「働いている地域や社会にこんな風にいい影響を与えたい」。約50人の参加者は7班に分かれ、たがいの考えや思いを語り合った。

 山崎さんは最後に、会場となった品川を起点に生まれる新しい働き方の可能性や、働く地域でのつながり方のイメージなどについてのヒントを残した。

    ◇

中世西欧のギルド的働き方を模索

 対談のタイトルにもなった、カッコつきの〈ハタラク〉について、みなさんはどんなイメージをお持ちですか? 

 僕がよく引用する「働くは、傍(はた)を楽にすることである」という説がヒントになるかもしれません。これは、単に楽にするだけじゃなくて、楽しくするということも含んでいると思いますが、「まわりで困っている人たちを、今よりもいい状態にする」ということ。結果として、そこに対価も発生してくるというのが、〈ハタラク〉の基本的な考え方のような気がしているんですね。

 この「傍を楽にする」というのは、東洋の仕事観なんです。単なる儲(もう)けじゃなく、働くということの中で自己を研鑽(けんさん)し、自分自身を高めていくという価値観が軸にあるようです。

 また、僕が西洋の先人で影響を受けているのが、19世紀に活躍したジョン・ラスキンです。この人は、産業革命が起きた頃に出てきた美術批評家で、社会改良家ですね。彼は、12世紀から13世紀の中世の頃にあった「ギルド」という働き方が本当はよかったんじゃないか、ということを言い出した人なんです。

 靴づくりなどの職人全員が個人事業主として切磋琢磨していたんですけど、商売敵として敵対するんじゃなくて、同じ職能集団として技術を教えあう。そうやってギルドの価値を高めていったんですね。そうすると、「このギルドに頼むと、すごいいいものが出てくるね」という評判がどんどん広がって、また注文が集まってくる。こうして、一つの価値が生まれ、組織として発展したんです。

 彼の言葉で有名なのは「もっとも裕福な国というのは、高貴にして幸福な人々を最大限に養う国だ」というものです。じゃあ、もっとも高貴にして幸福な人間ってどういう人なのかというと、「LIFE」、つまり生きていくということの価値を自分の中で高めて、他の人にすごくいい影響を与え続ける人生を送った人ということだと、ラスキンは言っているんですね。

 僕はこのラスキンの思想に触れて、そんな働き方って、なんかすごくいいなと思ったんです。生きることと働くということを分けない。そして、それらを分けないで夢中になって面白く働いている、面白く生きている人たちと一緒に働いていく。何か、そんなあり方というのが理想だなと思い続けてきました。

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