山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

お金に代わる対価って何だろう 駒崎弘樹(1)

  • 駒崎弘樹×山崎亮(1)
  • 2013年8月15日
  

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 人は何のために働くのか。どう働いたらシアワセにつながるのか――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となり、ハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続対談「〈ハタラク〉をデザインする」が始まった(&編集部主催)。7月30日に開かれた第1回のゲストは、認定NPOフローレンス代表理事の駒崎弘樹さん。病児保育や待機児童といった社会的な課題の解決に取り組む一方、新しい働き方を実践・提案している。会場となった「コクヨ エコライブオフィス品川」には、働く男女40人あまりが集まった。120分のトークライブの模様を4回にわたって紹介する。

働き方をデザインするために

山崎 「ハタラクをデザインする」というテーマを取り上げることになったは、都市部のコミュニティについて考えたいと思ったからです。僕はこれまで、中山間や離島といった地域を中心にコミュニティづくりに取り組んできましたが、この品川のような大都市でコミュニティを考えようとすると、やはり企業という軸に考えることも必要です。
 「会社・職場のコミュニティ」っていうのはじつは、地方における「集落のコミュニティ」と同じような仕組みで作られてきたんじゃないかな、というのが僕の実感です。年功序列、終身雇用と言われる組織のあり方は、集落の自治会、町内会、あるいは村のしきたりみたいなものと近いな、と。都市における旧来型の会社・職場コミュニティを都市型のコミュニティに変えていけないかというのが狙いなんですが、ゲストの駒崎さんにも、ヒントをいただけたらと思います。駒崎さんは新しい働き方を提案されていますね。

駒崎 はい、4年前に『働き方革命』という本を出しました。今でこそ、ワークライフバランスは経営戦略だ、なんて言ってますが、僕はもともとITベンチャーの経営をしていて、1日16時間ぐらい働いていたんです(笑)。でもそれが破綻(はたん)して、働き方を変えました。今は毎日、夜6時には仕事を切り上げて、7時には家に帰って子どもをお風呂に入れています。これまでに2回育休を取って、2カ月、経営者がいなくても回る職場にしました。そして、今も、育休の時に培ったノウハウを生かして、週に2回しか会社に出勤していません。

山崎 まさに、働き方をデザインする、ということですね。今日は、その話を聞きたい。ただ、駒崎さんは7時には家に帰って子どもをお風呂に入れなきゃいけないというので、あと15分ぐらいしか……。

駒崎 今日は大丈夫です(笑)。

山崎 よかった。

「昭和脳」の上司を「平成脳」に変えられるか

山崎 まずは今日、会場に集まってくださったみなさんにチームに分かれていただき、簡単な自己紹介と、どんなことを聞きたいと思って来たのかなど、自由に話してもらえますか。

(約10分間、参加者同士の自由討議後に、五つのグループが話した内容を発表する)

山崎 はい、ありがとうございます。いくつか質問をいただいて、皆さんがお聞きになりたいポイントに共通するところもあるなという気がしますね。そして、どの質問も最終的には、「働くことの対価はお金だけじゃないのでは?」という問いかけに集約されていくような気もします。まずは、駒崎さんと一緒に一つひとつ答えていきましょう。

 ◆「大企業では従来の仕事に囲まれ、新しい仕事がなかなか見つけられません」

山崎 僕は大企業での経験がないのですが。

駒崎 僕も経験はないんです。ただ、大企業に勤めている方からよく聞きますね、目の前の仕事に追われて、やりたいことに割く時間もなく、とても新しいことに手が出せない、と。処方箋の一つは、やはり仕事の生産性を上げて、早く帰るということ。アフター6とかアフター7で切り上げて、それからはやりたいことやインプットの時間に充てる。そうやって、自分の大切な時間を防衛していく方法があるんじゃないかと思います。

山崎 最近の大企業は、6時や7時に帰れますか?

駒崎 上司次第の部分はけっこうあるでしょうね。昭和脳の上司だと、「なんで俺より早く帰るんだ。俺が若かった頃は朝まで……」とか始まって、帰れなくなる。

山崎 戦略の一つとしては、昭和脳の上司を平成脳に変えていくということですかね。

駒崎 それですね。ただ、そういう上司の脳は、ダウンロード後かなり時間がたっていて、なかなかバージョンアップできない。
 ただ、一つの手段として「キャラ設定」というのがある。僕が座長を務める厚労省の「イクメンプロジェクト」では、「イクメンの星」を表彰する企画があるんですが、全国から「俺を表彰してくれ」という人がたくさん応募してくるんです。そこには、いかにして自分が職場にロックオンされずに家庭に時間を割いているかという技があれこれ書いてあって。その中のひとりは、自分はイクメンなんだよと公言して、もう、そういう人だということにしちゃう。すると、早く帰っても、「ああ、あいつ、イクメンだから」みたいなムードができてくるのだそうです。ただ、仕事の実力が伴っていないと「お前、何やってるんだ」ということになるので、だれよりも頑張る。

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