山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

独立前に、アフター6で「お試し起業」を 駒崎弘樹(2)

  • 駒崎弘樹×山崎亮(2)
  • 2013年8月22日
  

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 人は何のために働くのか。どう働いたらシアワセにつながるのか――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となり、ハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続対談「〈ハタラク〉をデザインする」が始まった(&編集部主催)。7月30日に開かれた第1回のゲストは、認定NPOフローレンス代表理事の駒崎弘樹さん。病児保育や待機児童といった社会的な課題の解決に取り組む一方、新しい働き方を実践・提案している。120分のトークライブの模様を紹介する2回目。やりたいことして、やりがいを感じるためのヒントとは――

働くベクトルをどこに向けるか?

山崎 社長が2カ月会社に行かなくても、ちゃんと会社がまわるようにする。社員が会社に縛り付けられない働き方に変える。そのためには、まず、仕組み化が大事なんですね。

駒崎 はい。

山崎 中小企業の例を中心にお話いただきましたが、大企業であっても、課や部の単位で少しずつ仕組みを変えていくということが可能かもしれないですね。そんな噂が広まっていくと、まさにその課に行きたいという希望を出す人たちが、会社の中でも出てくるでしょう。
 駒崎さんも、週に2回しか会社に出勤しないということですが、僕も2カ月に1回ぐらいしか事務所に行かないんです。僕、こうやってしゃべっていますけれど、本当は今、夏休みなんですよ。7月20日から、息子たちが夏休みになったので、同時に僕も夏休みにしちゃいますということで。ちょこちょこ講演とかテレビの番組出演とかはありますが、気分だけでも夏休みのままで通そうと決めていまして。だから今日も、半袖半パンの軽装で来ました。この恰好(かっこう)のまま、この後テレビにも出演します。

駒崎 いいですね。

アフター6でできる「お試し起業」から

山崎 僕たちは、もともと、都市空間や街並みといった、ランドスケープの設計の仕事に関わってきて、そこからコミュニティデザインの仕事をやるようになりました。中山間地域も都市部も、全国いろいろな所に行って、おっちゃんとかおばちゃんと一緒にワークショップをやることから始まるんですけれど、そうした現場では、部下が「ちょっと持ち帰ります」という言葉を使うのは、禁止にしたんですよ。

駒崎 はい。

山崎 もともと設計という仕事は、材料とか色とかをトータルで構想しているデザイナーが設計事務所のボスになって、すべてを判断して決める文化です。現場の担当者が職人さんとか施工業者さんから「こういうふうに変更してほしいんだ」と言われた時に、本来は自分で判断しちゃまずいんですよ。だから、うちのスタッフもかつては「すみません、ちょっと持ち帰ります」といってボスに聞きに来るというのが当たり前のところにいたんです。
 でも、ワークショップの場でそれを言ってしまうと、目の前のおっちゃん、おばちゃんたちがせっかく出した意見とか、現場のリアリティとかが一気になくなっちゃう。だから、みんなが意見を出したら、即座に「よし、いいね。それ、やりましょう!」というふうに、いいと思ったことは現場で決めて、すぐやっちゃうというふうに変えたんです。今、全国の80カ所でプロジェクトのお手伝いをしていますけれど、80カ所すべての担当者がそれぞれの判断で決めています。
 では、会場からの質問の、次に進みましょうか。

 ◆好きなことを仕事にするにはどうしたらいいでしょうか?

山崎 みんな思いますよね。好きなことで食べていけたら、と。ただ、どうやったら好きなことをお金に換え、持続可能な仕事にしていくことができるのか。さきほども、「大企業の中にいると、既存の仕事に埋もれてなかなか新しい仕事に踏み出せない」といった声が(フロアから)ありましたが、究極を言えば、好きな仕事、新しい仕事に踏み出したいんだったら、起業するっていう方法が早道かな。

駒崎 ただ、いきなり会社を辞めて起業するのは、それなりにリスクが高いですよね。例えば、NPOを立ち上げて、いずれはそれで食べていきたいと考えているなら、まずはお試し期間として、アフター6で、似たようなことをやってるNPOにボランティアで参加して、経営手法を探ったり組織のマネジメントを勉強したり、そういう「お試し起業」というのはあり得るかと思いますね。

山崎 NPO的な組織はインターン制度を持っていたりして、プロとして関わっていきたいんだったら、うちのノウハウをちゃんと提示して教えてあげますよ、という団体がけっこう多いんですよね。お試しの期間に、そういうところで腕を磨いて自信をつけていく。

駒崎 あとは、今、インターネットを使って起業したりすることへも障壁が低くなっています。例えば、WEBのアプリを作ろうと思えば、家に帰ってプログラムを開発して、いきなり世の中に出せちゃう。それ自体では全然儲からなくても、実際にプログラムを作って出した経験というのは、起業の時にものすごく重要になります。それも開発の経験の一つだし、WEBサービスに一歩踏み出したということでもある。実際にユーザーがつき、そのフォローとメンテナンスをアフター6と週末でやっていくという、会社との二重生活をしながら、ある程度軌道に乗ってきたら、サブを本業にする。そんなやり方もありますね。

山崎 京都の大学で教えていた時の教え子が大企業に就職したものの、やっぱりデザインがやりたいと。その企業の中では、該当する部署がないので、辞めて起業するかどうかという相談を受けた時に、やはり僕も「お試しで、アフター6を利用して起業してみたら」とアドバイスしました。彼はまず、WEBデザインの本を買ってきて、読むところから始めた。スタイルシートとは、HTMLとは、といった基本の基本から。初期投資だと思って、20冊ぐらい読んだ。それで、こんなホームページがあったらいいなという、お試しの作品をいろいろ作るうち、徐々に友人や知人からも頼まれるようになり、あれもこれもと無料で引き受けていったんです。

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