山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

「公私混同」ではなく「公私同根」 遠山正道(3)

  • 遠山正道×山崎亮(3)
  • 2013年11月7日
  

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 何のために働くのか。シアワセを生み出す働き方とは――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となってハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続公開対談「〈ハタラク〉をデザインする」。9月24日に開催された第3回のゲストは、スープ専門店「Soup Stock Tokyo」ほか、全く新しいコンセプトのリサイクルショップ「PASS THE BATON」などを展開する株式会社スマイルズ社長の遠山正道さん。120分のトークライブの中盤で、遠山さんがビジネスで大事にする「五つの感覚」を披露した。

会社もブランドも人物にたとえてみる

山崎亮 仕事をしていく上で、誰かにほめてもらうという動機づけは、意外と大事なのかもしれませんね。

遠山正道 スマイルズの「5感」という、僕が大事にしている五つの言葉があるんです。その中の一つに「称賛」というのがある。私は、絵の個展を実現したことがきっかけで、今こういう形でビジネスを展開できるようになったんですが、それは、絵の個展をやった時にみんなから「いいね」って言われたのが素直にうれしかったわけです。商社の時って、メーカーさんの代理営業みたいな感じでしたから。

山崎 そうかそうか。称賛されても、直接じゃないんだ。

遠山 いいねと言われても、我々のことじゃなくて、そのメーカーさんの商品のことを言われていたり。だから、手放しで喜べない感じがあった。

山崎 個展なら、違いますね。

遠山 個展の時は、みんなが手伝ってくれたことがうれしかった。みんなに「最高だから、僕の個展にぜひ来て」って電話しまくっていたんですけど、手間をかけて作品がいいものになったという思いに加えて、たくさんの仲間の協力を得ることができたという実感が大きかった。だからこそ、個展も、一つひとつの作品も、褒められた時には、心から喜べるわけですね。その感覚というのは商社の中では味わえなかったので、「ああ、称賛って、すっげぇいいじゃん」と思って。

山崎 5感のほかの四つは何ですか?

遠山 全部を続けて言うと、
 1「称賛」
 2「低投資・高感度」
 3「主体性」
 4「作品性」
 5「誠実」

 2は、低投資でもセンスや知恵でカバーする。3は、会社の看板じゃなくて、自分の足で立っていますか、頼まれてもいない仕事だってやっていますか、みたいなところです。

山崎 4の「作品性」というのは、美意識に近いのかな。

遠山 例えば、スープをひとつ作るのに、最初にレシピ開発のメンバーがいて、その人がレシピにサインをする。それから物流に載せて、店に届いて、そこでもう1回、スープとして作って。最後に、うちのメンバーがお客様のためにスープカップに注いで手渡すところまで、それこそいろいろなバトンでつないでいく。途中のバトンを持っている人がそれぞれ自分の役割を自分の作品だと思って、それぞれがサインをして次に渡すというような思いで、どの段階の人も仕事をしていけたらいいなと考えています。
「たむらぱん」という女性ミュージシャンがいて、あるとき、彼女のライブを観に行くと、席が音響設備のブースのすぐ後ろだったんですね。照明係は、首にタオルを巻いた、いかにも職人風なおじさんで、有名な曲のサビの部分に差し掛かった時に、照明のレバーをパーンと引いたんですよ。ここだ!っていうところで、きれいにシンクロさせて。すごいクールな仕事ぶりで「かっこいい!」って。そういう仕事人って、プライドもあるし、主体性を持ってのぞんでいるし、作品性もあると感じた。称賛もしてあげたいと心から思いましたね。

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PROFILE

遠山正道(とおやま・まさみち)

1962年、東京都生まれ。慶應義塾大卒。85年、三菱商事入社。97年、日本ケンタッキー・フライド・チキンへの出向を経て、2000年、三菱商事初の社内ベンチャー企業「スマイルズ」を設立。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、ネクタイの専門ブランド「giraffe」、新しいリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファッションブランド「my panda」を展開。近著に『成功することを決めた』(新潮社)。HP


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