山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

「先が見えちゃった不安」からの脱却 馬場正尊(1)

  • 馬場正尊×山崎亮(1)
  • 2013年11月28日
  

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 何のために働くのか。シアワセを生み出す働き方とは――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となってハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続公開対談「〈ハタラク〉をデザインする」。10月15日に開催された第4回のゲストは、建築設計事務所「Open A」の代表や不動産仲介サイト「東京R不動産」のディレクターなどを務める建築家の馬場正尊さん。120分のトークライブの模様を5回にわたって紹介する。

フリー・エージェント方式と一体感の両立

山崎亮 「studio−L」の山崎と申します。僕は地域の人たちがつながる仕組みを作っていく「コミュニティデザイン」の仕事をしていて、地方と都市部の両方で、ワークショップをする機会があります。そのなかで、地方のコミュニティが抱えている問題というのを知れば知るほど、現代の会社のコミュニティが直面している課題とすごく近いな、と思うようになってきたんです。
 たとえば、インターネットが普及していろいろな情報が入ってくると、村の若い人たちの価値観がどんどん多様化して、集落の重鎮の言うことなんて聞かなくてもいい、という雰囲気がでてきます。そして、もう集落から出ていきますからって、すぐに都会に行ってしまう。一方で、都会の大企業でも同じようなことが起きています。部長や課長が自分たちの組織の文化みたいなものを作っていこうと若い人を飲みに誘っても、「僕は結構です」と断られたり。「じゃあ、転職しますから」という人が出てきたり。
 そんなふうに、終身雇用や年功序列といった仕組みも含めて、都会の企業というものはどっぷり農村型コミュニティとしてできているんじゃないか、という問題意識がありました。そこで、農村の新しい暮らし方みたいなものが企業コミュニティで、企業の新しい働き方みたいなものが農村で、それぞれ解決するヒントになるかもしれないと思ったことから、この連続対談企画が生まれたんです。
 そこで、第4回となるきょうは、前から親しくさせていただいている馬場正尊さんにいらしてもらいました。「OpenA」という会社で設計の仕事をしながら、「東京R不動産」というユニークな試みを続けていらっしゃいます。

馬場正尊 よろしくお願いします。今、農村の「ムラ社会」と都市部の企業社会を対比させるお話をうかがいながら、気づいたことがありました。東京R不動産では、「フリー・エージェント」という、ものすごくドライな契約形態で結ばれています。OpenAは一般的な正社員ではあるけれど、設計の仕事は各々で行っています。それでいて「社員旅行」があったり、事務所のメンバーによるサッカー大会を開いたりしているんです。

山崎 意外ですね。初めて聞きました。ある意味、「農村型」のコミュニティの要素も入っているんですね。

馬場 ドライな組織だからこそ、いかにしてムラ社会というか、農村型社会の空気のようなものを採り入れるかという視点が大切なのかもしれません。みんなが一体になって仕事をしているというのを、もしかすると、あえて演出しているのかな、と。
 ここで、ちょっと自己紹介をさせていただきたいと思います。僕は今、45歳で、「Open A」という設計事務所の代表をしています。それともう一つ、「東京R不動産」という、不動産仲介のウェブサイトをしています。今は仲介業も備えている組織で、営業、プログラマー、デザイナー、編集、マネジメントする人など、だいたい20〜30人がスタッフと言えますね。ほかに福岡R不動産、神戸R不動産、大阪R不動産……と全国で9カ所でやっています。
 僕自身はほかに、山形にある東北芸術工科大学で准教授をしており、ひょんなことから、研究と教育にも関わることになりまして。そういう意味では、いろいろなことをしてしまっているなと思います。

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PROFILE

馬場正尊(ばば・まさたか)

1968年、佐賀県生まれ。94年、早稲田大学大学院建築学科修了。博報堂をへて、早大博士課程に復学、建築とサブカルチャーをつなぐ雑誌『A』の編集長。2003年、「Open A」を設立。同じころ、「東京R不動産」を始める。08年より東北芸術工科大学准教授。著書に『「新しい郊外」の家』(太田出版)、『都市をリノベーション』(NTT出版)、『だから、僕らはこの働き方を選んだ』(ダイヤモンド社、共著)など。HP


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