山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

ライバル同士でもギスギスしない 馬場正尊(2)

  • 馬場正尊×山崎亮(2)
  • 2013年12月5日
  

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 何のために働くのか。シアワセを生み出す働き方とは――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となってハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続公開対談「〈ハタラク〉をデザインする」。10月15日に開催された第4回のゲストは、建築設計事務所「Open A」の代表や不動産仲介サイト「東京R不動産」のディレクターなどを務める建築家の馬場正尊さん。120分のトークライブの模様を5回にわたって紹介する2回目は、フリーエージェント形式ならではの働き方の提案があった。

本という「提案書」でビジョンを投げかける

山崎亮 不動産屋さんが思っている「いい物件」のスペックというのは、家賃とか築何年とか、駅が近いとか、小学校区がどこどこだとか、近くに大きな大手のスーパーがありますとかね。建築家からすれば、そういうのは探してないよと。ところが、建築家のそういう感覚を不動産屋さんはなかなか理解してくれないし、紹介もしてくれない。それならということで、馬場さんの場合はそんな物件を勝手に見つけ出してきて、それをブログにおもしろおかしく書いていこうみたいなことで、趣味として始めたわけですね。
 誰からも頼まれていないし、それではお金も発生しないんだけれども、「こんなの見つけた」「これ、おもしろい」って打ち出していたら、友人たちから、それをちゃんと事業化したほうがいいねという提案があったりして、10万円ずつみんなが懐から出してきて、50万円で仕組みを作って東京R不動産という事業をやり始めた。そうしたら、そのあと反響がすごいですもんね。

馬場正尊 大きい事業になっているというよりも、ファンができて。

山崎 ページビューは、今、月間どのくらいですか?

馬場 300万ぐらいはいきますね。地方版R不動産も、大阪、山形、稲村ケ崎、いろいろあって、それらを合わせると、たぶん400万を超えます。

山崎 かなりのサイトですね。馬場さんは大学院に戻った時に、雑誌『A』を作られていましたから、本を作るとか編集するといったスキルはもともと持っていらした。それをいわゆるブログとかインターネット上で展開したのが東京R不動産ですね。それに、著書もよく出されていますよね。

馬場 はい。1年に1冊出版するのを基本にしています。ちょうど9月に『RePUBLIC/公共空間のリノベーション』という本が出たので、興味がある方はぜひ読んでいただければと思います。

山崎 公共空間、いわゆる都市の公共空間って、行政が何となく持っている公園とか公開空き地とかというものが普通だと思っているんですが、そういう空間に対する考え方も含めて、リノベーションするにはどうしたらいいかというアイデアが満載の本ですね。去年も別の本を出していましたね。

馬場 共著なんですが、『だから、僕らはこの働き方を選んだ』という本で、まさに今日のテーマに近いと内容だと思うんですが、「東京R不動産のフリーエージェント・スタイル」とサブタイトルがついています。働き方とか、東京R不動産というものがどうやって始まり、どういう人たちが関わって、何を大切にしているかということを書きました。自分たちの働き方を見つめ直して頭を整理するには、ちょうどいい機会だなと思って。
 それと去年はもう1冊、『団地に住もう! 東京R不動産』も出版しました。団地リノベーションもいろいろやっているので。僕の場合、本を書くというのには二つ意味があって、一つは、自分のやってきたことって何だったんだろうというのを確認する。3年前に出した『都市をリノベーション』という本も、働き方の本も、まさにそういう目的です。もう一つは、本という形の「企画書」。最近出した『RePUBLIC――』は、まさに社会に僕らの提案を問いかけていく本なんです。
 言語化することで確認ができるから、それを繰り返している感覚ですね。でも一番大きいのは本にしろ、WEBサイトにしろ、世の中に対する提案なんですね。

山崎 提案書なんですね。それを読んだ人から、一緒にプロジェクトをやりたいという声がかかるきっかけとしての本ということですね。

馬場 そうですね。平たく言うと営業ツール。

山崎 営業ツールを年に1回、出版する。人の金で営業ツールを作っていくということですね(笑)。

馬場 はい。

山崎 まあ、それがちゃんと売れるので次々に声がかかるんでしょうから、迷惑はかかっていないということなんでしょうね(笑)。
 さて、ご紹介いただいた、『だから、僕らはこの働き方を選んだ』という内容が、やはり僕もすごくおもしろくて、フリーエージェントのスタイルでそれぞれが独立しているんだけれども、東京R不動産という事業を軸にみんなが集ってきて、東京R不動産というレーベルみたいなものをみんなで高めながら仕事をしている。ただ、それぞれが事業主の集まりなので、なかには社員を何人か抱えている人もいるし、個人として参画している人たちもいる。そのスタイルで2003年からやってきたということですね。

馬場 はい。10年間、続けてきましたね。

ライバル同士でもギスギスしない関係性

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PROFILE

馬場正尊(ばば・まさたか)

1968年、佐賀県生まれ。94年、早稲田大学大学院建築学科修了。博報堂をへて、早大博士課程に復学、建築とサブカルチャーをつなぐ雑誌『A』の編集長。2003年、「Open A」を設立。同じころ、「東京R不動産」を始める。08年より東北芸術工科大学准教授。著書に『「新しい郊外」の家』(太田出版)、『都市をリノベーション』(NTT出版)、『だから、僕らはこの働き方を選んだ』(ダイヤモンド社、共著)など。HP


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