山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

「やりたいこと」より「今やれること」を 馬場正尊(5)

  • 馬場正尊×山崎亮(5)
  • 2013年12月26日
  

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 何のために働くのか。シアワセを生み出す働き方とは――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となってハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続公開対談「〈ハタラク〉をデザインする」。10月15日に開催された第4回のゲストは、建築設計事務所「Open A」の代表や不動産仲介サイト「東京R不動産」のディレクターなどを務める建築家の馬場正尊さん。馬場さんのお話もいよいよ最終回。駆け出しの頃のこと、家族のことなどを語った。

やりたいことより「今やれること」を追いかける

馬場正尊 みなさんは、やりたいことがまずあって、それを地域の中でどう具現化していくかというのが課題なんですね。山崎さんからのアドバイスは、まずはやりたいことを脇に置いておけ、と。ひたすら相手のニーズを聞いて掘り出して、それからだと。
 僕の場合はね、その前に、やりたいと思うことがあんまりないんですね。やりたいことじゃなくて、やれることをします、というスタンスなんです。やりたいことをやれるほどの能力はないって感じかな。まわりで天才をたくさん見てきましたから。それよりは、やれることを探す。

山崎亮 なるほど。

馬場 やりたいことを探すよりも、やれることを探したほうが簡単だし、結果として、やれることをやれたなら、きっとそれが僕のやりたいことなんだろうと。
 やれないことっていうのは、いくら一生懸命やってもね。僕が今からミュージシャンになろうと思っても、まあ、無理なんですよ。やれることは何かな、何かなと思って探っていくうちに、そうしてやってきたことが自分のやりたいことになった、と。後追いでもいいから、そういうことにしちゃおう、みたいな。
 そういう思考のモードって、さっき山崎さんがおっしゃった、「人の話を聞く」という時と近い気がしますね。僕の場合は、「状況」に耳を澄ませている。今、この中で自分が機能することがあるとすると、何だろうな、みたいなことを探すという感じです。

山崎 そんな感じ、伝わってきますね。

馬場 誰にも相手にされていないような物件でも、リノベーションですごくよくなりそうなところはこんなにあるよ、みたいな。公共空間のリノベーションもそう。公共空間って、例えば公園とか、つまらない場所と思われがちですよね。ある意味、「思考の空白地帯」です。

山崎 人が公園と呼ぶ所には、たいてい、何もリノベーションが起きていない。

馬場 そういうところこそ、僕なんかは、おいしいなと思う。それは、最初はやりたいことじゃない。どっちかというと、「おいしいな」なんです。

山崎 そこで、自分だったら何ができるか、みたいな。

馬場 できることを先に考える。僕は強烈な思考のジャンプみたいなものから、天才的な建築物を造れるというタイプじゃない。そこは、もうわかりますよね、20歳ぐらいで。だったら、着実にやれることを、今やれることを一生懸命やろう、みたいな。

山崎 おっしゃるとおり、その状況の中で自分は何ができるかというのを打ち出していくほうが、何をしたいかということを先に押し付けられるよりも、いろいろな人たちがつながりやすいというのはあるでしょうね。

馬場 ああ、そうかもしれませんね。

山崎 俺がやりたいことはこれだ、俺が俺がって言われちゃっても、みんながなかなか協力しにくい。

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PROFILE

馬場正尊(ばば・まさたか)

1968年、佐賀県生まれ。94年、早稲田大学大学院建築学科修了。博報堂をへて、早大博士課程に復学、建築とサブカルチャーをつなぐ雑誌『A』の編集長。2003年、「Open A」を設立。同じころ、「東京R不動産」を始める。08年より東北芸術工科大学准教授。著書に『「新しい郊外」の家』(太田出版)、『都市をリノベーション』(NTT出版)、『だから、僕らはこの働き方を選んだ』(ダイヤモンド社、共著)など。HP


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