山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

半年に1度問う、「面白く働いているか」 柳澤大輔(3)

  • 柳澤大輔×山崎亮(3)
  • 2014年1月23日
  

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 何のために働くのか。シアワセを生み出す働き方とは――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となってハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続公開対談「〈ハタラク〉をデザインする」。昨年12月17日に開催された第5回のゲストは、面白法人「カヤック」代表の柳澤大輔さん。120分のトークライブの中盤では、会社の看板にもなっている「面白さ」と、企業としての経営上の合理性とをどうバランスさせているか、そのバランス感覚を語った。

鎌倉の「カマコンバレー」で働く理由

柳澤大輔 会場から、カヤックでは採用を誰が決めるのか、というご質問がありましたが、社員のみんなが決めるという形ですね。かなり多くのメンバーに会ってもらって、一緒に働きたいという人を採用しています。基準としては、「一緒に働きたい」という一言に集約されますけれど、その中には、面白いものを作っているとか、人柄が信頼できるとか、せこくないとか、面倒くさくないとか、そういうみんなの肌感覚も含めて決まってきますね。

山崎亮 何人ぐらい面接する感じですか?

柳澤 大体4〜5人ぐらいは会ってもらいます。多い人だったら、7〜8人ということもあります。

 あとは、6〜7割は過去に作ったもので決まります。中途に関してはもちろんですが、新卒についても、作ったものをまず見ますね。天職がクリエーターだという人を採るので、学生の時点で何も作っていないとか、課題授業の課題以外に自分の作品を作っていないという人は、多分これからも作らないんだろうなと判断するケースが多いですね。
 僕を含めて共同代表が3人いるので、その誰かが最後に会って最終決定します。それはどちらかというと、チェックというよりは承認という感じですね。我々のような規模のそんなに大きくない会社ですと、会社で社長に会うことがけっこう多いし、すごく社長の存在って近い。そうすると、組織のトップである人に認められて入社したかどうかというのは、その人の今後に影響する。承認されて入ったという感覚を持ってのスタートをするほうがきっと楽しいと思うんですよ。OKを出した僕らも、それが責任になりますしね。

 ◆質問「地方で、あるいは海外で、働いている場所と仕事として出てくるアウトプットには、何か関係がありますか?」

柳澤 関係がありますかという質問に対しては、「あるようにしようと思っている」という回答になります。もともと、会社を鎌倉に置いたこととか、「旅する支社」とかの出発点は、インターネットというツールがあれば、いろいろなところで働く時代になる、というシンプルな発想にあったんです。せっかくなら古いお寺があるような鎌倉で働ければいいんじゃないか、たまには移動して働くのもいいんじゃないかと。
 15年間、その形で会社をやってみて、働く場所が仕事にビンビン影響を与えて、社会がその流れについてきたかといえば、正直、その流れはこなかったのかなと。資本主義の会社というのは、経済合理性を求めますから、わざわざ遠い所にいかない。
 ただ、一方で、15年間、鎌倉という地域にコミットしてきて、せっかく会社がそこにあるんだから、そこの地域を良くするということにも会社として肩を貸したほうがいいねと考えるようになりました。そのほうが僕らも楽しくなるし。やっぱり、自分が住んでいる、働いている地域を自分たちがよくしているんだという思いでやっていたら、すごく楽しくなりますよ。地域と会社との関係性も楽しくなってくるし、やらされてる感がないから。

山崎 そこも、「自分事」感覚が大事なんですね。

柳澤 地域で活動する中で仲良くなった会社もあります。みんなユニーク。例えばアメリカのアウトドア用品メーカー「パタゴニア」の日本オフィスが鎌倉にあって、社員をサーフィンに行かせたり、利益は顧客からの信任票という考えで、売り上げの一部を環境団体に寄付していたり。「鎌倉投信」という投資信託会社は、社会に貢献している企業にしか投資しないという理念で5年ほど前から始めて、すごい実績を上げて注目されています。
 うちも含めて共通することは何かというと、企業の立地として鎌倉という土地をわざわざ選んでいる。その背景には、経済合理性だけじゃない何かがあると考えていることでしょうか。そういう似た者同士が集まっている地域になってきているんだと思うんですね。

山崎 みんなユニークな会社ですね。

柳澤 それから今、鎌倉の企業が20社以上も集まって「カマコンバレー」という集団ができました。僕らの意識は、単に鎌倉にコミットしようというのじゃなくて、日本のため世界のために一極集中で効率だけ求めていくのではない、新しい価値観を示していきたいね、その方がハッピーになれるよね、という方向に向いています。あえてこの地を選ぶことで、地域としての価値を高めるお手伝いをしながら、そうした新しい価値観を含めて世界に発信していきたいと。カマコンバレーの仲間とは、そんな話をしています。

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