山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

日帰りできない「遠さ」のメリット 大南信也(2)

  • 大南信也×山崎亮(2)
  • 2014年2月20日
  

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 何のために働くのか。シアワセを生み出す働き方とは――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となってハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続公開対談「〈ハタラク〉をデザインする」。1月14日に開催された第6回のゲストは、神山アーティスト・イン・レジデンスや神山塾を運営するNPO法人「グリーンバレー」理事長の大南信也さん。120分のトークライブの模様を5回にわたって紹介する2回目は、次々と寄せられる質問から話題が展開。人が集まりユニークな“人財”のつながりが形成されることでワクワクするようなプロジェクトが生まれてくる実例を紹介した。

山崎亮 ここで、会場の皆さんからのご質問を受けたいと思います。

 ◆質問「神山町に外の人を呼びこむことによって、地元に元々あったリソースを活かした新しい事業が立ちあがり、町の活性化につながった事例はありますか?」

大南信也 例えば一つは、地元の梅を使ったジャムの製品化があります。石油会社を脱サラした45歳ぐらいの人が神山に入ってきたんですが、その人は石油会社に勤めておる時に、石炭の売買をしていたんですね。北海道の製糖会社なんかにその石炭を納めておった関係で、石油会社の人なのに砂糖の知識を持っていた。
 その人が神山に移住してきて、自分はここで農業にまつわる何かがしたいと。神山はすだちも有名だけれど、梅もけっこう有名で、四国一といわれるぐらいの産地なんですね。梅はほとんど青果の状態で出荷してしまうところがほとんどなんですが、その人が梅の生産農家の人とつながって、熟した梅を集めていろいろな砂糖を使って梅ジャムみたいなものを作ろうと呼びかけたんです。けっこういいものができましてね。

山崎 うん、聞いているだけでおいしそうだ。

大南 じゃあ今度は、この梅ジャムを入れる瓶にラベルが必要だねという話になる。そのラベルのデザインは、また別の人で、神山に移住してきているデザイナーの人が担当することになりました。こんな形で何かを始めてみると、ほぼメードイン神山製でいろいろなことが実現していく。これは、人が集まってくる、人を集めるということの一つの力ですよね。

山崎 本当にそうですね。

大南 もう一つは、ドキュメンタリー映画の製作です。今、長岡参さんという映像作家が神山に移住してきており、30代の男性の方なんですが、その人と5人の外国作家とが組んで「産土(うぶすな)」という映画を作りました。

私たちのNPO「グリーンバレー」が、ある財団法人から助成金をもらう形で立ち上がったプロジェクトで、森とともに生きる暮らし方を全国に訪ねる「探訪キャラバン」と称して、限界集落などを撮影して歩いて。
2時間のフィルムにまとめあげた段階で、「じゃあ、僕がタイトルバックを作ってあげるよ」と請け負ってくれた人がいまして。その方も映像制作の大家なんです。「ドローイングアンドマニュアル」という会社のサテライトオフィスを神山に置いている菱川勢一さんです。

山崎 NHKの大河ドラマ『八重の桜』のオープニングタイトルの映像を作った方ですね。水のしぶきがものすごいアートになっていたり、実際に大勢の人がピンクの傘を開いて桜の花が咲いていくような壮大な表現を試みたり。もっと前の大河ドラマも担当していらしたし、他にも、森のなかにながーい木琴を置いて、木の玉を転がすだけでまるごと一曲を演奏しちゃうすごいCM映像を監督して、カンヌ国際広告祭で金賞を取っちゃったり。とにかくスケールの大きい方ですよね。

大南 そうです。その菱川さんに、グリーンバレーを拠点に映画を作るんだよと言ったら、じゃあ作ってあげるよということで。町民の人はそんなこととは知らずに試写会で作品を観て、みんなびっくりしとるわけ。「うわー、なんか大河ドラマ観とるみたい」って。いや、そのNHKの大河ドラマ作った本人が手がけているんですからって(笑)。
 今度、映画の予告編の映像作品を作る人もまた新たに神山に入ってきています。今度はその予告屋さんがプロの目でまた作品を作り込んでいく。いろいろな才能を寄せ集めて、一つの新しいことができあがっていくということが、これからはけっこういろいろな局面で今まで以上に出てくるような気がしています。

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