山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする

「マイナスの中にあるプラス」を見つけだす 大南信也(4)

  • 大南信也×山崎亮(4)
  • 2014年3月6日
  

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 何のために働くのか。シアワセを生み出す働き方とは――。コミュニティデザイナーの山崎亮さんがホスト役となってハタラク・エキスパートたちとの対話を重ねる、連続公開対談「〈ハタラク〉をデザインする」。1月14日に開催された第6回のゲストは、神山アーティスト・イン・レジデンスや神山塾を運営するNPO法人「グリーンバレー」理事長の大南信也さん。120分のトークライブの後半で、物事のマイナス面や失敗をプラスに転じていくプロセスとその思考法について、NPOが長年続けてきた森づくりの活動の実体験をもとに語った。

山崎亮 たしかに、里山に人の手が入らなくなって、木々が鬱蒼(うっそう)と茂っていくなか、暗い、寒いと不満を持っていた商店街の人たちは、グリーンバレーの人たちが身銭を切って山の保全活動をしてくれたことで、またもとのように陽が射すようになったら、「助かったわ、ありがとう」みたいな感じでしょうね。
 先ほどのお話からは、そういうことの積み重ねによって地域の人たちからの信用もえられて、NPOとしても得をすることがある、ということなんですね。結果的には、「グリーンバレーさんだったら家を貸してもええ」と言ってもらえたり。地域で活動するって、何が何につながっていくかわからないから、とにかくやってみる、っていうものなんでしょうね。

大南信也 自分たちのできることに対しては、徹底的に力を加えていくということです。だけれども、自分たちでいくら力を入れても力の及ばないことも世の中にはあります。環境自体をガラッと変えるのは無理です。無理なことに注力しても、ただ疲れるだけ。だから、自分たちができることをリスクを負える範囲の中ですればいいんです。
 力が及ぶことに関しては徹底的にやる。すると、結果として、組織や会社の価値が上がり、何かを始めようとする時に思いもよらぬ協力者が現れたりする。
 とはいっても、これは自分らの利益のためにやっているわけではありません。相手が自分たちの思惑どおりの判断をしてくれんかった時でも、「これだけやってあげたのに」というように押しつけることは決してしない。「いや、それはおばあちゃんの判断だから、それが一番正しいですよ」と尊重してあげる。そういう柔らかさを残しておけば、人間関係もうまくいくし、自分たちだけのために活動しているのではないと見てもらえるので、グリーンバレーの客観的な評価も上がるわけです。そういうことの積み重ねですよ。

山崎 すごい! なるほどー、大南さんたちって、やっぱり「神」だな。

大南 神山ですから(笑)。

山崎 神山には、いっぱい神が棲んでる。

 ◆質問「過疎が進む豪雪地帯、秋田県横手市のまちおこしをするNPO活動をしています。都会から人を呼ぶために雪はマイナス要因になると思いますが、どうやったら克服できるでしょう?」

山崎 神山には雪は降りますか?

大南 降りますよ。でも、年に2、3回だけ。積もったとしても10センチ程度です(笑)

山崎 ものすごく積雪量が多い所に都会から人を呼ぼうということ自体が無理なのか、あるいは可能性はあるのか、というご質問ですが。

大南 いや、可能性はあると思いますよ。物事にはすべてプラス面とマイナス面がある。それに加えて、みんながマイナスだと考えていることの中にプラス面が隠れている場合があります。だから、雪が多いというマイナス要因の中にあるプラスは何か、という考え方をすればいいんじゃないかと思います。
 発想の転換ですね。例えば、過疎というのは非常なマイナス要因と考えられています。地域にとってみれば、人口がずっと減っていくわけですから。しかし、人が少ない分、他の人とつながりやすいというプラスだってあるんですね。東京のように1300万人もおったら、ある人とある人が出会う確率は非常に低いわけです。
 ところが人口がたった6000人規模の神山にやってきたら、先ほどお話したみたいに、非常に有名な(映像作家の)菱川勢一さんや、(働き方研究家の)西村佳哲さんのような方たちに出会う確率は格段に高まる。だから、「マイナスのプラス」は何かということを、常に頭の中で練っておく必要があるんじゃないかと思います。

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