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72歳女性。昨年10月から鼻汁がのどに流れ込んだり、張り付いたりして悩んでいます。耳鼻科医には「後鼻漏(こうびろう)」と診断されました。炎症やアレルギーはなく加齢が原因で、薬や対処法がないと言われましたが、治すことはできないでしょうか。(東京都・J)
【答える人】 松根 彰志(まつね・しょうじ)さん 日本医科大武蔵小杉病院教授(耳鼻咽喉科)=川崎市
後鼻漏とは。
鼻汁が前に流れて鼻腔(びくう)(鼻の穴)から出るのが鼻漏で、後ろ側にあたるのどに流れ落ちるのが後鼻漏です。だれでもある程度の鼻汁はのどに流れていきますが、その量が増えたり、粘性が高まって濃くなったりすることで起きます。たんがのどに張り付く、たんが絡んだせきが出るなどが主な症状です。
何が原因ですか。
鼻の周囲にある副鼻腔で炎症が起きる副鼻腔炎や、アレルギー性鼻炎によって引き起こされることが多く、後鼻漏の原因の計約7割を占めるという報告もあります。原因がわかれば、その疾患を薬などで治療することで症状の軽減や消失を期待できます。
相談者にはこうした疾患はなく、加齢が原因と言われたそうですが。
加齢によって、鼻からのどにかけての粘膜が萎縮して乾燥し、鼻汁が張り付きやすくなります。こういう場合、本人は症状を感じているのに、鼻咽腔(びいんくう)ファイバースコープなどで診察しても症状が見られないこともあり、「後鼻漏感」と呼んでいます。ほかにも胃酸が逆流する逆流性食道炎で、のどの違和感を訴えるケースもあります。
加齢が原因だと対処法はないのでしょうか。
鼻からのどにかけての加温・加湿が、症状の緩和につながることもあります。体温より少し高い39~40度の生理食塩水での鼻うがい(鼻洗浄)を1日2回程度、試してください。1カ月ほどで症状が軽くなった方もいます。マスクの着用も鼻を冷やさず、乾燥も防げるのでおすすめです。加齢による粘膜の機能低下は避けられず、加温・加湿で補うのが効果的です。
後鼻漏について、松根さんは「引き起こしている原因疾患の有無をまず診断してもらうべきです」と話す。その上で、「原因疾患がわかればキュア(治療、cure)を、異常が見られず加齢などによる『後鼻漏感』ならばケア(お手入れ、care)を心がけてください」と語る。
後鼻漏を訴える人で、最も多い副鼻腔炎には、マクロライド系の抗生物質、たんを取るムコダインなどの薬物療法が主流だという。次いで多いアレルギー性鼻炎の治療には、アレルギーの原因となるものを遠ざける抗原除去などがあり、アレルギー反応を抑える抗ロイコトリエン薬で後鼻漏の症状が軽くなったという報告もあるそうだ。ほかにも後鼻漏の原因疾患としては、風邪や上咽頭炎があげられている。
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