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 かつては「夢のエネルギー源」とされたプルトニウムは、今や取り扱いが難しいやっかいものになってしまった。最近、英国で取材した際、プルトニウム政策の最先端にいる英原子力廃止措置機関(NDA)のエイドリアン・シンパー理事の言葉に心底驚いた。彼はこう言ったのである。

 「我々は仲間内で笑いながら、『プルトニウムの妖精』が現れて、魔法の棒を振り、一瞬でプルトニウムを消してくれないかなと、話したものだった。でもまあ、それに頼るわけにもいかないので、もう少し科学的に考えようとしたんだ」

 責任者のあからさまな言葉に、プルトニウムをもつことの重荷を感じた。

 英国は核燃料サイクルの国内での完結をめざしただけでなく、フランスとともに、海外の国を顧客にした「プルトニウム・ビジネス」も展開した。その中心施設が、1994年に運転を始めた再処理工場のソープ(Thorp)である。

 自国のガス炉だけでなく、日本やドイツの使用済み燃料を再処理する予定でつくられたもので、建設費も英国、日本、ドイツがほぼ3分の1ずつ負担した。

 しかし、英国の核燃料サイクルは結果として失敗だった。原発は自国開発のガス炉からPWR(加圧水型炉)への転換を図ったが、95年に運転を開始したサイズウエルB炉以降、原発建設が止まった。90年に始まった電力民営化・自由化の影響だった。

 核燃サイクルの構想時は、「2000年までに高速増殖炉を8基建設」とまで言われていたが、原型炉PFRが94年に運転が止まって開発がストップした。皮肉にもソープがプルトニウムを生み出し始めた同じ年である。

 その後、英国をはじめ各国のサイクル政策はさまざまに変わったが、英国では高速増殖炉はもちろん、軽水炉によるMOX燃料利用も実現しなかった。

 2012年末の段階で、英国には約120トンの分離プルトニウムがあり、そのうち約96トンが英国のもの、約17トンが日本のものだ。ソープは各国の再処理委託が終わる2018年ごろ、運転を止める。そのとき英国のセラフィールドには140トンのプルトニウムが残される。

 英国は、こうした状況がくると分かっていたので、08年ごろから対策を考え始めた。その最初のころの議論が、シンパー氏のいう「プルトニウムの妖精が現れて、消してくれないか」である。

 複雑なプロセスとお金をかけて…

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