[PR]

 政治的な混乱が続いていたタイで22日夕、国軍幹部がクーデターを決行したと発表した。20日に戒厳令を発令して以降、軍主導で対立する政治勢力間の対話を促していたが、不調に終わりクーデターに踏み切った模様だ。タイには約3900社の日系企業が進出しており、影響が懸念される。

 タイでの軍事クーデターはタクシン元首相が失脚した2006年9月以来。

 クーデターの声明はプラユット陸軍司令官がテレビに出演して発表。「バンコクや郊外で起きている暴力のために無実の市民が死亡し、傷ついている。この状況が続けば国の安全と国民の生命と財産に深刻な影響を及ぼす恐れがある」と状況を説明したうえで「陸海空軍、国家警察からなる国家平和秩序評議会が午後4時半をもって行政権限を掌握した」と宣言した。

 国王に関する条項を除き現行の憲法を一時停止し、夜間の外出禁止令も発令した。時間帯は午後10時から午前5時。出歩いている人に対しては兵士や警官は必要な措置を取ることができると警告した。

 一方、国民は落ち着いて普段通りの生活をし、政府機関の職員は通常通りの業務に戻ってほしいとも述べた。大使、領事、国際機関、外国人については安全を保証し、諸外国との関係もこれまでと同様であるとした。

 タクシン元首相派と反タクシン派の長引く政治対立を受け、軍は20日に全土に戒厳令を発令。21日に双方の指導者や政府・与野党関係者らをバンコクの陸軍施設に集め、昨年11月の大規模デモ以来初めてとなる代表者会議を開き、対話を促していた。

 22日にも関係者を集めたが、妥協点を見つけられず、軍はクーデターに踏み切った。集められた与野党関係者らは軟禁されている模様だ。

 陸軍部隊は政府を支持するタクシン元首相派がバンコク郊外で開いていた集会の排除を始めた。数十発の銃声が聞こえたとの情報もある。負傷者が出たかどうかは不明だ。(バンコク=翁長忠雄)

     ◇

 〈タイの政治危機〉 昨年11月、2006年の軍事クーデターで追放されたタクシン元首相の実妹インラック首相(当時)が率いる政権が、タクシン氏の帰国に道を開く恩赦法案を下院で可決しようとした。これに反政府派が反発し、その前後からデモを始めた。政権側は下院を解散し、今年2月に総選挙を実施しようとしたが、反政府側が妨害。さらに憲法裁判所が5月、過去の政府高官人事をめぐってインラック氏を首相から失職させると、タクシン派もデモ集会を始め、混迷が深まっていた。

こんなニュースも