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 九州電力・川内(せんだい)原発(鹿児島県)を筆頭に、原発再稼働の動きが急だ。だが、万が一の事故への準備には大きな穴があいている。

 福島原発事故後は、原発から30キロ圏内の市町村が避難計画を含む防災計画をもつことになった。しかし、「福島事故のような放射能放出をまじめに考えると、とても避難計画はできない」という声が広がっている。ある意味、当然だ。

 「住民5万人が○○市に5年間、あるいは永久移住」といった福島のような事故シナリオを描いて市民に示せるはずもない。今つくられているのは、「事故の際は渋滞もなく住民がテキパキと避難して、短時日で家に戻る」というような計画だ。これは果たして原発大事故への対応と言えるのだろうか。

 「形だけの避難計画」、そして「高放射線下では誰が働くのかが不明」のまま再稼働の議論が進む背景には、「福島のような大事故はもう起きないだろう」という第二の安全神話がある。

 朝日新聞は5月下旬、再稼働への審査が先行する6原発(泊、高浜、大飯、伊方、玄海、川内)が立地する6道府県を通じて、避難計画の策定状況を調べた。

 それによると、全52自治体で避難計画は作成済みとなっていたが、病院で個別の避難計画をつくっていたのは全217施設中18施設しかないなど、災害弱者の移動、ケアに悩んでいる姿が浮き彫りになった。

 福島事故では、老人ホームの入所者を無理に移動させるなどして、多くの人の死期を早めた。全国の自治体はいま、「まじめに考えるほど、避難計画はできない」という声が強い。

 3・11から3年になる直前、朝日新聞は原発から30キロ圏内にある21道府県と134市町村に別のアンケートを行っている。

 そのときの回答では4割の市町村で計画ができていなかったが、どこの自治体でも「いかに短時間に住民を原発から遠ざけるか」に腐心していた。

 しかし、本当は「避難の長期化」が大問題であり、それは「避難のあと」にくる。この調査では「避難計画を策定済み」「近く策定予定」とした81自治体に「住民が避難する期間」を聞いているが、「期間を設定している、する予定」は8市町村のみだった。

 島根原発がある松江市が「半年」で例外的に長く、ほとんどが1週間から1カ月程度だった。期間を盛り込んでいない市町村の多くが「短期の一時避難」と考えていた。

 つまりほとんどは、「長期の避難、疎開、移住」を考えていないのである。短時日で終わるのは「やれやれ大変だった」と戻る「大雨での避難」のイメージだ。

 福島では今も13万人ほどが故郷を離れている。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故では数千平方キロという広大な土地が無人となったままだ。帰還の計画はない。原発大事故の最大の特徴であるこの「住めない土地を生むこと」が日本の計画には反映されていないといえる。

 考えてみれば、それも無理はない。事故シナリオとして、「何万人もの移住」を住民に示すのは無理だろう。

 ではどんな事故をイメージして…

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