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 生後、親に隠され戸籍がなく、学校に通えず、社会から存在を認知されないまま育った子どもたちが日本にいる。どこに、どれほどいるのか、誰も知らない。

 あ い う え お

 鉛筆を握りしめ、小学生の国語ノートのマス目をうめていく。兵庫県伊丹市の康子さん(22)は、ほとんど字が書けない。住所と名前をひらがなで書くのが精いっぱいだ。

 17歳まで戸籍がなく、父(75)のもとで社会から隔離されてきた。ぬいぐるみや洋服めあてのリサイクルショップの買い物、氷川きよし出演の歌番組と散歩を楽しみに一日を過ごす。

 取材で込み入った話になると「わからない」を繰り返した。「将来、やりたいことはある?」の問いには「ない」。同席する父が口をはさんだ。「全て私の責任です。こんなに罪深いことはない」

 康子さんは大阪・釜ケ崎で日雇い暮らしの父と、婚姻関係を持たない母(60)との間に生まれた。母は既婚者で、夫の暴力から逃げていたときに父と出会い康子さんを産んだが、出生届を出さなかった。出産後は父と同居したが子育てはせず、5年後に家を出た。

 父は娘の存在を隠した。過去に窃盗や傷害の罪で5回服役していた。「前科者の娘とばれれば、学校に行ってもいじめられ、大人になっても結婚できないと思った」

 学校に通っていれば小学生の年のころ、父は年金暮らしの異母兄を頼り、大阪市住吉区の古アパートに3人で暮らした。近所の人たちは康子さんの姿を認めていたが、気にとめなかった。

 向かいのアパートの男性は「女の子は平日も通学かばんを持っていなかった。へんだと思った。でもあいさつしないし、遊びに来ている子だと思った」と言う。

 日中は父子ふたり公園で過ごした。毎日同じ公園だと不審に思われると、各所を転々とした。自宅近くで同年代の女児の母親に「何組ですか?」と話しかけられたときは「もう転校するから学校に行ってません」とごまかした。

 康子さんが社会に“発見”され…

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