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 東京電力福島第一原発のがれき撤去作業で放射性物質が飛散し、福島県南相馬市の水田を汚染した可能性を農林水産省が把握しながら地元に説明してこなかった問題で、林芳正農水相は22日の記者会見で「不安を招いた。大変申し訳ない」と陳謝した。これまで対応に問題はなかったとしていたが、地元の反発を受けて一転した。

 南相馬市で昨秋に試験的に収穫したコメから基準超のセシウムが検出され、市農業委員会は11月20日、「原因がわからない。売れないのに作っても仕方ない」と本格的な作付け再開に反対を表明。その後、農水省から「基準以下のコメは政府備蓄米として買い取る。基準超は東電が賠償する」と説明され、12月13日に作付け再開を受け入れた。これを受け、国は今年3月20日に再開を正式決定した。

 一方、農水省は当初から20キロ以上離れた第一原発で昨年8月19日に行ったがれき撤去作業の際に放射性の粉じんが飛散した可能性があるとみていた。当時、第一原発の北北西2・8~8・3キロ地点で空間線量が上昇していたためだ。

 さらに南相馬市と第一原発の間にある浪江町の大豆やトウガラシからも基準超のセシウムが検出され、農水省は第一原発からの飛散説を強めた。今年1月には原子力規制庁に、3月には東電にがれき撤去が原因の可能性があると指摘。4月には東電から昨年8月19日のがれき撤去の際にふだんの1万倍以上の放射性物質が放出され、南相馬市まで飛散した可能性があると聞いていた。それでも朝日新聞が報道した直後の今月18日に南相馬市で開いた農業関係者の会合まで、地元には一切説明しなかった。

 市農業委の鶴蒔清一会長は「国は説明したら復興が進まなくなるため隠したのではないか。原因が飛散なら、がれきを撤去している限り降ってくる。それなら作付け再開に同意しなかった」と憤る。(青木美希)

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