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 長崎県佐世保市で県立高校1年の女子生徒(15)を殺害したとして殺人容疑で逮捕された同級生の少女(16)が4年前、小学校のクラスメートの給食に、ベンジンなどの有害物質を複数回、混入していたことが佐世保市教育委員会などへの取材でわかった。専門家は「このときの対応次第で、その後の展開が変わった可能性がある」と指摘する。

 県警もこの情報を把握しており、今回の殺害事件での、少女の犯行動機などを解明するうえで背景事情として関心を寄せている。

 市教委などによると、2010年12月初旬、小学6年生だった少女は、クラスメート2人の給食に5回にわたり、それぞれ水、ベンジン、漂白剤、粉末洗剤2種類の水溶液0・3ミリリットル程度を混ぜた。「一緒にやらない」と、ほかの児童を誘うこともあり、クラスでは公然のことだったという。

 同月中旬に、被害を受けた男児が担任に報告して発覚。少女への聞き取りで、男児の給食に1回、女児に4回、異物を混ぜていたことが判明した。少女は当時、「勉強していたことをばかにされたのでやった」と話したという。

 市教委は、少女と両親を指導。少女と両親は被害児童の親に謝罪し、最終的に和解したという。その後、市教委はカウンセラーを配置し、少女や、関係した児童や親、教職員らに計15回のカウンセリングをした。

 市教委は、事案を報告書にまとめて長崎県教委に報告し、小学校には、少女や被害児童が進学する中学校に報告するよう伝えた。県教委は29日の会見で当時の対応について「具体的な対応は学校や市教委に任せていた」と説明した。

 当時の市教委幹部は取材に「できる限りのことをしたつもりだが、これだけの事件が起きてしまった。もっと何かできなかったのかとの思いがあり悔しい。でも、何をすればよかったのかわからない」と話した。

 少女は今回の殺害事件の動機について、「人を殺してみたかった」という趣旨の話をしているという。

 少年事件の事例研究を長年続けてきた広木克行・神戸大名誉教授(教育学)は、少女が小学6年のときの異物混入の事案を「見逃せない出来事」と指摘。当時の学校や教師らの対応について、「少女に謝罪させるだけで終わったのか、行動の背後にある心理や精神、生活にも目を向けられたのか。いまある情報から言うと、『なぜそういった行動をとったのか』を多面的に見る目が欠けていたのではないか」と話す。