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 あれは小学校低学年の頃、テレビのチャンネルをガチャガチャ回していた私の目に不思議な映像が映りました。墨と筆で描きなぐったような絵がチャカチャカ動き(当時の私の目にはそう映った)、内容は民話で、体のめっぽう丈夫な男と持病を抱える男が登場して、病弱な男は自分の体をいたわって長生きするが、丈夫な男は暴飲暴食がたたって早死にしてしまう、というストーリー。

 素朴で豪快な味わいのキャラ、力強く鮮やかな色彩、そして「一病息災、一病息災~」と独特の節で歌われる歌。しばし夢中になってブラウン管を見つめていました。その十数分間の映像が、ふだん浴びるようにテレビで見ていた「まんが」と同じ「アニメーション」であると当時の私がわかっていたかはあやしいもんですが、とにかく「なんだか見たことのないものを見た!」と強烈な印象を残しました。

 大学生になって「アニメの世界」(おかだえみこ・鈴木伸一・高畑勲・宮崎駿著、新潮社とんぼの本)という本を開いたら、懐かしやあの暴飲暴食男の写真が! あの映像は岡本忠成というアニメ作家の「南無一病息災」(1973年)という作品であり、「切り紙アニメ」という手法で作られていることを知りました。やはり幼い頃に見て記憶に残っていた「モチモチの木」(72年)という短編も彼の作品だと知り、「いつかまとめて岡本作品を見たいなあ」と思っていた頃、新聞に訃報(ふほう)が載り、私の願いは悲しくも「追悼上映会」という形でかないました。享年58歳。1990年のことです。

 その岡本忠成さんの作品作りに…

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