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 宇宙飛行士の多くは宇宙滞在中に睡眠不足に悩まされていることが、米ハーバード大などの研究チームの調査でわかった。不眠には無重力状態が関係しているとみられる。人類が月や火星に行く場合に備え、不眠の健康影響への対策が欠かせないとチームは指摘する。

 米スペースシャトルと国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙に滞在した飛行士計85人に、打ち上げ前から帰還後まで睡眠と寝起きの様子を日記につけてもらい、宇宙では腕にまいた専用装置で起床と睡眠のリズムを測った。地上でのべ約4千泊分、宇宙で約4300泊分のデータを集めて分析した。

 その結果、宇宙での平均睡眠時間はシャトルで5・96時間、ISSで6・09時間だった。米航空宇宙局(NASA)は8時間半の睡眠を確保するようスケジュールを管理しているが、実際には7時間以上眠れたのはシャトルが滞在日数全体の12%、ISSが24%にとどまった。一方、地球帰還後に自宅で眠った場合は42%と50%だった。

 また、宇宙滞在中に睡眠薬を服用したことがある飛行士は、ISSで75%、シャトルで78%にのぼっていた。睡眠薬を使うと緊急事態に適切に作業できなくなるおそれがあるといい、研究チームは「睡眠不足は広がる傾向がある。より適切な対策が必要だ」と指摘する。研究成果は専門誌「ランセット・ニューロロジー」で発表された。(嘉幡久敬