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 政治の場に女性を増やすにはどうしたらいいか。各国とも模索している。

 英国と大陸欧州を隔てる海峡をのぞむ英南部の街ドーバー。英労働党員の女性クレア・ホーキンスさん(37)が、れんが造りの家々をノックし始めた。

 「ハロー、はじめまして!」

 左手には、有権者名簿をはさんだファイル。数軒ほど留守宅が続き、ようやく扉が開いた。「最近の光熱費の高騰はひどすぎるわよ」。住人の女性(59)は開口一番、そう訴えた。こんなふうに、「どぶ板」の戸別訪問を週4回こなす。こうした有権者との対話は、日本でもよく見られる光景だ。

 ホーキンスさんは、来年5月にある英総選挙の立候補予定者だ。2012年に野党労働党の「女性だけの公認候補者名簿」から選ばれた。現職が引退する安全選挙区と接戦区のそれぞれ半数の候補者を、女性同士で競わせて選抜する制度だ。

 女性議員を増やすための代表的な手法、議員や候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の一種だ。労働党が女性有権者の支持を獲得するため、ブレア党首(後に首相)時代の97年総選挙で導入。92年に37人だった同党の女性下院議員は今や86人。下院全体に占める女性議員の割合も92年の9・2%から22・6%にふくらんだ。

 「もっと議会に女性を増やさないと。応援するわ」。住人の女性は話し、ホーキンスさんの支持者名簿に署名した。隣人の男性(69)は「クオータ制でも、優秀な候補でなければ選ばれない。女性議員を増やす制度には賛成だ」と語った。

 クオータ制への反発は根強くある。目立つのが、「男性への逆差別だ」との批判だ。「女性だけの名簿には反対。保守党に負ける」。一昨年夏、元地方議員の男性党員がホーキンスさんの公認決定を批判する文書を、党本部に送った。

 女性国会議員の割合が3~4割の国もある欧州大陸に比べれば、英国はまだ少ない。ホーキンスさんは戸別訪問で「政治のことなら夫に聞いて」という女性に会う度に、政治は男性優位なのかな、とやりきれなくなる。「学校、子育て、ゴミ出しなど、生活現場のすべてが政治。女性はもっと声を上げるべきなのに」

 「自然増に任せては、いつまでも女性議員は増えない。だから、短期的なクオータ制は必要だと思う」

     ◇

 女性閣僚を5人起用した安倍晋三首相の改造内閣。ただ、自民党の国会議員408人のうち女性は40人に過ぎない。母数が少ない限り、次に続く女性議員の育成すらままならない。どうすれば女性議員は増えるのか。日本が議会制民主主義のモデルにしてきた、英国の取り組みから探りたい。

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