朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」(PRC)は11日、「吉田調書」をめぐる朝日新聞の報道について、朝日側がPRCの見解を求めた申し立てについて、審理の対象とすることを決めた。

 対象となるのは、東京電力福島第一原発で事故対応の責任者だった吉田昌郎所長(故人)が政府事故調査・検証委員会に答えた「吉田調書」について、朝日が5月20日付朝刊で「所長命令に違反 原発撤退」などの見出しで報じた記事。

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 〈報道と人権委員会(PRC)〉 朝日新聞社と朝日新聞出版の記事に関する取材・報道で、名誉毀損(きそん)などの人権侵害、信用毀損、朝日新聞社行動基準などの記者倫理に触れる行為があったとして、寄せられた苦情のうち、解決が難しいケースについて審理する第三者機関。調査、審理の結果は見解としてまとめ、公表することができる。2001年に発足した。苦情申立人のほか、審理対象となる朝日新聞社や朝日新聞出版からも、審理を要請することができる。

 最近では、いわゆる「ロス疑惑」をめぐる名誉毀損訴訟の判決報道に関し、遺族側の申し立てについて、今年6月に判断。この訴訟自体は朝日新聞側が勝訴したが、PRCの見解は、判決で朝日側の主張が認められなかった部分も含めて、「正確に報道することが公正な態度」との考え方を示した。これを受けて、朝日側は、見解を反映させた記事を再掲載した。これまでに、朝日新聞や朝日新聞出版に何らかの是正を求めた見解は10件を超える。

 現在の委員は、早稲田大学教授(憲法)の長谷部恭男氏、元最高裁判事で弁護士の宮川光治氏、元NHK副会長で立命館大学客員教授の今井義典氏の3氏。