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17:42 名人が35手目を封じる意思を示した。別室で用紙に記入して封筒に入れ、対局室に戻って石田二十四世本因坊に手渡した。持ち時間各8時間のうち、消費時間は名人が3時間53分、挑戦者が3時間49分。19日午前9時に再開する。

 右下隅から動き出した黒31、33がワンセットの強手。名人が下辺の左右の黒を連係させ、白陣を根こそぎ荒らそうとしている。両者長考の応酬で、午後は9手しか進まなかった。解説の金八段は「名人の繰り出す最強手に、挑戦者が慎重に応じている印象です。挑戦者が、下辺に入られた代償をどう得るかが焦点になりそうです」と話した。

17:00 午後に入り、両者の手が止まる場面が相次いでいる。井山名人は昼食休憩を挟み、27手目に1時間32分の長考。河野挑戦者も30手目に1時間26分考えた。あまりに局面が進まないため、石田秀芳二十四世本因坊は「立会人権限で『早く打ちなさい』と言おうかな」。もちろん冗談だ。

 黒27ツケはサバキを狙った一手。場合によっては捨て石にする展開も考えられる。黒31のハネから33のハサミツケが、白模様を根こそぎ荒そうとするワンセットの強手。解説の金秀俊八段は「黒は最強の手を繰り出し、緊迫した局面です」と話す。

15:00 おやつが両対局者に出された。挑戦者は和菓子を選択。サイコロ状の大福で、中に生クリームなどが入っている。飲み物はアイスコーヒーだった。名人は洋菓子。イチゴやブルーベリーをのせたショートケーキとホットコーヒーを注文した。フルーツ盛り合わせ(スイカ、桃、イチジク、ブドウ)は両者共通だった。

14:00 対局場となった「望湖楼」で大盤解説会が始まった。解説は鳥取県倉吉市出身の山本賢太郎五段。矢代久美子六段が聞き手を務めた。山本五段は「穏やかな棋風の河野挑戦者だが第1局は井山名人の石を取りにいき、名人はシノギに回った。今期名人戦はお互いが棋風とは逆の碁になっているのではないか」と話した。第2局はじっくりした展開で、局面がなかなか進まない。解説者泣かせの碁となっている。

13:00 対局が再開した。対局室の床の間に生け花と掛け軸が飾られている。掛け軸には「万葉集」の歌が流麗な文字で書かれている。「青丹(あおに)よし ならの京(みやこ)は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり」。小野老(おののおゆ)の歌だ。

 「万葉集」は鳥取県と縁が深い。万葉歌人の山上憶良(やまのうえのおくら)は県西部の伯耆(ほうき)の国司を務め、大伴家持(おおとものやかもち)は県東部の因幡(いなば)の国司を務めた。「万葉集」の最後を飾る家持の歌「新(あらた)しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)」も鳥取で詠まれた。

 華々しく活躍する両対局者は碁盤というキャンバスにどんな好手、妙手の花を咲かせるのだろうか。

12:00 昼食休憩に入った。名人はイクラ、ウニ、マグロ、シロイカ(ケンサキイカ)、サーモン、ヒラメの新鮮な刺し身をのせた海鮮丼と地元名産のシジミのみそ汁。ヒラメは鳥取県の「県魚」だ。シロイカも地元の名物。挑戦者はカレーライスと福神漬け、キュウリ、タマネギ、トマトのサラダを注文した。

本局の記録係は田尻悠人四段(23)と堀本満成三段(24)。2人交代で最高峰の一局を記録していく。午前は1時間半交代、午後は1時間交代だ。

 田尻四段は金沢市出身で現在は東京都在住。対局開始直後から盤側で記録した感想は「2人とも、静かさの中にもすごい気合が入っている」。「対局者が打ちやすいよう、自分は空気のような感じで、と心がけています」と話した。

 堀本三段は現在も故郷の山口県柳井市に住み、囲碁の普及にも取り組んでいるという。「序盤を見ただけでも『流行に走らない、自分たちで流行を作る』という両対局者の気概が伝わってきました。タイトル戦ならではの新しい世界が見られる予感がしています」と話した。

10:00 対局場となった「望湖楼」は鳥取県湯梨浜町の東郷湖畔に立つ老舗の温泉旅館で、1931年に創業した。全国でも珍しい湖上露天風呂があることで知られる。

 ここで囲碁名人戦が開催されるのは初めてだが、棋聖戦や本因坊戦はすでに打たれている。2001年の棋聖戦では当時の王立誠棋聖が趙善津挑戦者に勝ち、05年の棋聖戦では結城聡挑戦者が羽根直樹棋聖を破った。同年の本因坊戦では高尾紳路挑戦者が張栩本因坊に勝った。

 「望湖楼」の中島守社長(70)は熱心な囲碁ファン。「囲碁の三大タイトル戦の会場となってうれしい。トップ棋士を間近で見られる貴重な機会で、鳥取のファンも喜んでいます」と話した。(大村治郎)

9:00 七大タイトルのうち六冠を保持する井山裕太名人(25)に七番勝負初登場の河野臨九段(33)が挑戦する第39期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)第2局が18日、鳥取県湯梨浜町はわい温泉「望湖楼」で始まった。

 午前9時、立会人の石田秀芳二十四世本因坊が「時間になりましたので、始めてください」と告げた。ほどなくして名人が右上星に第一着。挑戦者は左上星と応じた。

 持ち時間は各8時間。18日夕に封じ手を行い、19日朝に再開。同日夜までに決着する。(村瀬信也)

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対局の模様は、朝日新聞デジタルの囲碁のページ(http://www.asahi.com/igo/)を通じて、棋譜や「ニコニコ生放送」をご覧になれます。

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