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父よ母よ、どこに:上

 父は、母は、どこにいるのか――。身元不明のまま保護されている認知症の人が全国で35人いる。全国自治体への調査をもとに厚生労働省が発表した。認知症による徘徊(はいかい)などで昨年度に行方不明になった人のうち132人もまだ見つかっていない。今も、帰りを待ちわびる家族がいる。

 「すしさえ握っていればいい」というのが口癖の、職人気質の父親だった。

 青森県三戸町ですし店を営んでいた桑添正夫さんが、徘徊(はいかい)で行方不明になって5年10カ月になる。当時、77歳。「どこかで生きていて」。妻と息子は、「主(あるじ)」がいない店を切り盛りしながら、無事な帰りを待つ。

 家族の食卓を兼ねる店の調理台。陰膳は1日も欠かさない。息子の正之(ただゆき)さん(50)は「おやじが好きだった」というコーヒーを、父のカップに注ぐ。厨房(ちゅうぼう)の壁に張られたカレンダーには「2100」とペンで書かれている。父が不在となってからの日数だという。毎月末に書き直す。

 正夫さんは10年前に認知症と診断された。出歩いて居場所がわからなくなることが度々あり、警察に保護されたことも2度あった。

 2008年11月29日、町の「産業まつり」の日。調理を手伝っていた正夫さんが姿を消した。午後3時半過ぎ、ストーブにあたる姿を妻の京子さん(81)が見かけたのが最後だった。連絡先をメモしたカード、免許証などはテーブルに置かれたままだった。

 「じいさま、どこさ行ったべ?」。夜になって警察に行方不明届を出した。翌日には町に消防団の出動を依頼した。12月2日と4日には警察犬を使った大がかりな捜索も実施された。

 家族はチラシを100枚以上作…

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