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 米オバマ政権は22日、中東シリア領内で、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」の拠点などに対する空爆を開始した。軍事作戦には米軍のほかにサウジアラビアなど中東の5カ国も参加した。「イスラム国」掃討に向けた米国の軍事作戦はイラクからシリアに拡大し、新たな段階に入った。

 米国防総省のカービー報道官が米東部時間の22日夜(日本時間23日午前)の声明で明らかにした。国防総省の23日の発表によると、米軍は「イスラム国」が主要拠点とするシリア北部のラッカなど四つの都市で計14回の空爆を実施し、訓練施設などを破壊した。戦闘機や爆撃機による攻撃のほか、紅海やペルシャ湾に展開する米艦船から巡航ミサイルも発射した。

 同省によると、今回の作戦ではサウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン、バーレーン、カタールの5カ国が、空爆に加わったり、作戦を支援したりしたという。オバマ大統領は23日、ホワイトハウスで記者団に対して「共通の安全のため、友好国と協力して立ち向かうことを誇りに思う」と述べ、中東諸国と連携した軍事作戦であることを強調した。

 また、米軍はシリア領内で、「イスラム国」とは別のアルカイダ系組織「コラサン・グループ」の拠点も単独で空爆した。国防総省は、この組織が米国などへのテロ攻撃を計画していたとしている。オバマ氏は「米国民への脅威となるテロリストの聖域は認めない」と改めて訴えた。

 「イスラム国」はシリア東部からイラク北部に支配地域を広げた。オバマ政権はイラクでの空爆ではイラク政府の承認を事前に得たが、シリアでの空爆については、対立関係にあるアサド政権との協力の可能性を否定してきた。

 シリア外務省は22日に米国から空爆について事前通告があったと表明。シリア国営のSANA通信によると、アサド大統領は23日、ダマスカスでイラクのアバディ首相の特使と会談した際、米軍の空爆実施を踏まえて「シリアはテロと戦う国際社会の努力を支持する」と発言した。ただ一方で、「こうした努力が成功するかは、軍事行動に加えて、国連決議に基づく国際公約も必要」とクギを刺した。

 対「イスラム国」で米国に同調し、イラクでは空爆に加わったフランスは、シリアでの今回の作戦には参加していない。

 「イスラム国」に対し、米軍は8月8日から、イラク国内の避難民や米国民の保護を理由に空爆を続けていた。今月10日には、オバマ大統領が「イスラム国打倒」を最終目標とする新たな戦略を表明。イラクでの攻撃を拡大すると同時に、「イスラム国」の拠点があるシリアでの空爆に向けた準備を進めていた。

 効果的な空爆には、地上部隊との連携が重要だが、オバマ政権は、地上戦を行う米戦闘部隊は派遣しない方針。シリアでは、反アサド勢力に対する武器供与や軍事訓練を急ぎ、作戦実施に協力を得ていく考えだ。ただし、こうした対応は時間がかかるとみられ、米国の「イスラム国」掃討作戦は長期化することが必至の情勢となっている。(ニューヨーク=大島隆、春日芳晃)

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