[PR]

 下校時間から夕刻にかけて、子どもが巻き込まれる事件が後を絶たない。

 今年1月、相模原市で午後4時過ぎに犬の散歩をしていた小学5年の女児が連れ去られた。4日後に保護され、男が逮捕監禁容疑などで逮捕された。7月には岡山県倉敷市で下校中の小5女児が行方不明になり、5日後に保護された。自宅への監禁容疑で逮捕された男は、女児にカッターナイフを突きつけて、「大きな声を出したら殺す」と脅迫。車に押し込んで連れ去ったとされる。

 奈良市で2004年11月、下校途中の小1女児が誘拐・殺害された事件や、栃木県今市市(現日光市)の小1女児が殺害された05年12月の事件でも、容疑者は1人でいるところを車で連れ去った。こうした事件を受けて、集団下校などの対策をとる学校が増えている。

 警察庁によると、昨年1年間に13歳未満の児童が連れ去られたり、誘拐されたりした事件は94件あり、成人を含めた被害全体の51・1%を占めた。この10年間では04年(141件)以降減少し、08年に63件まで減ったが、ここ数年は90件前後で推移している。

 警察庁幹部は「通学路を見守る地域のボランティアが増えて、小学校などでの被害防止教育が根付いてきたが、被害が高止まっている理由については分析しなければならない」と話す。

子どもが1人の時間減らして

 地域の防犯対策に詳しい瀬渡章子・奈良女子大教授(住環境学)の話 2004年から翌年にかけて奈良、広島、栃木各県で女児殺害事件が相次いだ。一連の事件は子どもが1人でいるときに起きている。放課後でも公園で大人が見守ったり、地域の防犯パトロールをしたりするなど、子どもが1人になる隙をできるだけ減らしていくしかない。会った人同士であいさつできるような関係を地域でつくるのも効果的だ。不審者なら目を合わせないなどの特徴があり、異変にも気づきやすい。

 知らない人についていかないことや、防犯ブザーの使い方など、学校や家庭での安全教育をいま一度徹底することも必要だ。今回の事件をきっかけに自分たちの活動を見直し、粘り強く続けていくことが大事だ。

事件未然に防ぐ「よい声かけ」

 子どもの安全に詳しい小山健蔵・大阪教育大教授の話 今回遺体が発見された場所は雑木林で、ふだんは住民もあまり近づかないところだったという。どのような地域にも、人目につきにくい死角は存在する。そのポイントをいかに洗い出し、つぶしていくかが重要になる。例えば草が伸び放題の空き地も、草刈りをこまめに実施すれば見通しはよくなり、犯罪現場となるリスクは減らせる。地域全体での取り組みが不可欠だ。大人が子どもに声をかけると「不審者」として扱われるケースが増えているが、子どもたちと地域の信頼できる大人たちとが、互いに顔を覚えられるような場をもっと増やすべきだ。「よい声かけ」が事件を未然に防ぐこともある。