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 シルビア、マークⅡ、スープラ……。懐かしい日本の中古車が、ロシアのモータースポーツで活躍している。フィギュアスケートのように、走りの華麗さを競う「ドリフト」競技で、手頃な価格と運転のしやすさが人気の秘密だ。

 「3、2、1」。カウントダウンが終わると同時に2台の車が猛烈な勢いでスタートした。日産自動車のシルビアとスカイライン。ともに10年以上前の車だ。カーブに来ると、並んだまま車の後部を大きく振り、斜めになって曲がって行く。タイヤが路面と擦れ、大量の煙が舞い上がった。

 ロシア極東のウラジオストク郊外で9月19~21日に開かれたドリフトの大会。レース場には、1990年代を中心に、日本の名車がずらりとそろった。その多くが、すでにカタログから消えて久しい名前だ。

 一番人気はシルビア。地元選手の上位16台中、7台を占めた。チブチャン選手(28)の愛車は99年式。10年前、静岡県で数十万円で買った。鮮やかな黄色に塗り直されて新車のようだ。「車体のバランスがとてもいい。いまなら1千万円の価値がある」とほれ込む。

 トヨタ自動車のマークⅡは「サムライ」の愛称で親しまれている。サボーチキン選手(27)は、ドアもエンジンもない95年式の車体を購入した。「どうせ改造するから、何もない方が安くていい」と話す。

 製造から20年前後の古い車でも、競技用の部品で強化すれば、実力はいまだに一線級。トヨタ車に日産のエンジンを積むなど、車の改造に工夫を凝らすのも楽しみの一つだ。

 90年代の日本車には、まだバブルの余韻が残っており、ドリフトに向いた後輪駆動の高性能車が数多く生まれた。その後、乗用車の主流が、燃費がよく、車内が広い前輪駆動車に移ったことも、古い車が使われている背景にある。

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 自動車競技は最高峰のF1をはじめ、改造した市販車のレースや、山道や雪道で競うラリーなど、欧州発祥のものが多い。今月10~12日には、今年2月に冬季五輪が開かれたソチで、ロシアで初めてのF1のレースが開かれる。

 ただ、極東は、ドイツやイタリアなど、自動車レースが数多く開かれる本場とは遠く離れた場所にある。一方で、日本との距離の近さから、街を走る車の8割弱が日本の中古車だ。

 極東に、中古車とともに入ったのが日本の「ドリフト」文化だった。

 ドリフトは、日本生まれの新しい競技だ。速さを競う他の競技に比べ、ダンスのような車の派手な動きや、観客席から全コースを一望できる娯楽性がファンのこころをつかみ、各地で競技会が開かれている。

 ロシアでは2006年ごろから、極東のクルマ好きが集まって、日本の「ドリフト」をまねるようになったという。広場などで競技会が行われるようになり、そこに観客もつき始めた。いまではモスクワなど全国に広がり、ロシア・ドリフト・シリーズ(RDS)として5地区に分かれて行われている。タイヤやオイルなどの部品メーカーが徐々にスポンサーとして支援するようになり、プロ選手も生まれている。

 第一人者のシミニュークさん(…

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