朝日新聞社は18日、慰安婦報道など一連の問題を受けて立ち上げた「信頼回復と再生のための委員会」の初会合を東京都内で開きました。社外委員からは、当社の存在意義や理念を自ら問い直すよう求める声が相次ぎました。

 会合には社外委員4人、社内委員4人の全員が出席。当社側が一連の問題の経緯を説明したのに対し、弁護士の国広正委員は「朝日新聞社の存在意義を現場の視点から議論すべきだ」と提案しました。

 ジャーナリストの江川紹子委員は、戦後まもなく定めた「朝日新聞綱領」に触れ、「綱領は作り直すべきだ。その過程で、どういう新聞社にしたいかを社員が真剣に考えることになる」と話しました。

 日産自動車副会長の志賀俊之委員は自社の経営再建の経験から「再生プランは将来への成長戦略とともに、従業員一人ひとりのコミットメント(責任を持って関わること)が必要だ」と指摘。社会学者の古市憲寿委員も「メディア業界全体への失望が漂っている。自分たちで業界を変えていく意識が大切だ」と述べました。次回の委員会は31日に開く予定です。

再生プラン、年内にまとめます 飯田真也委員長(朝日新聞社上席執行役員)

 朝日新聞社は危機的状況にあります。創刊以来、最悪の事態といっていいかもしれません。「信頼回復と再生のための委員会」は、もう一度信頼される新聞へと生まれ変わり、言論機関としての社会的責務を果たしていくために必要な行動指針となる再生プランをつくります。年内には取り組むべき課題とその方向性をまとめたいと考えています。

 読者のみなさまや、さまざまな立場の方のご意見に耳を澄ましながら、社員が一体となって再生プランを練り上げて参ります。ただし、内向きの議論に陥ってはなりません。4人の社外委員のみなさまには、プランをつくる過程で厳しいご指摘とご提言を頂きたいと思います。

 今回、慰安婦報道、原発事故にかかわる「吉田調書」報道、池上彰氏連載の掲載見合わせという三つの問題が起きました。吉田調書報道については、当社の第三者機関「報道と人権委員会」が、それ以外の二つについては「第三者委員会」がそれぞれ検証作業を進めています。当委員会は、この三つに共通する朝日新聞社の構造的な問題を分析し、今回の事態を招いた原因を探ります。そのため、編集部門のチェック体制などの問題だけではなく、会社全体の意思決定や危機管理のあり方にも議論を広げます。また、企業体質や社員の意識などが三つの問題の背景にあった可能性があります。この関係を考えるうえで、社外委員のみなさまのこれまでのご経験を議論に生かして頂きたいと思っています。

 委員会がまとめた再生プランを朝日新聞社は誠実に実行し、進捗(しんちょく)状況を継続的に点検して参ります。

社内外の声、議論に生かしていきます

 「信頼回復と再生のための委員会」は、社外のご意見をできるだけ多くうかがいながら議論を進めます。

 これまでに、記事へのご指摘をいただく読者モニターを務めた方々との対話集会を東京と大阪で開きました。今後は、読者や一連の問題で購読を中止された方々に、じっくりとご意見をうかがう場を設けます。また、朝日新聞を購読していない方も含めて幅広い声を寄せていただくため、ご意見をいただく窓口も近く開設する予定です。寄せられたご意見やご提案は委員会での議論に生かしていきます。

 一連の問題の中で、池上彰氏の連載「新聞ななめ読み」の掲載見合わせが明らかになった際、多くの記者からツイッターなどで批判の声があがりました。こうした社員の率直な声も再生プランづくりに反映させるため、若手やベテラン、所属部署を問わず、社内集会やアンケートなどを通じて提案を募っています。

 委員会の審議内容や活動は随時、紙面やデジタルを通じてお知らせします。